国内 2023.03.29

開始10分で0-21とされるも、常翔学園が前回王者の報徳学園を破る【全国高校選抜大会準々決勝】

[ 編集部 ]
開始10分で0-21とされるも、常翔学園が前回王者の報徳学園を破る【全国高校選抜大会準々決勝】
最後にジャッカルで勝利を手繰り寄せた常翔学園FL上野昴輝(撮影:高塩隆)

 勝者は開始10分で0-21とされるも、最後は逆転で勝利を飾った。なんとも高校ラグビーらしい試合が展開された。

 全国高校選抜大会の準々決勝が3月28日に熊谷ラグビー場でおこなわれ、第4試合は近畿対決となった。
 近畿大会2位の常翔学園が、同大会3位の報徳学園を38-31で破った。近畿大会での直接対決は24-14だった。

 勝負は早々に決したかと思われた。報徳が昨季花園準優勝の主力を欠いても、スピーディーなアタックで次々とスコアしていったからだ。

 先制トライは開始30秒だった。長身のWTB長谷川諒がキックオフを再獲得すると、CTB福田幹太が相手の隙を突いて、ラックからもう一度立ち上がりインゴールに入った。

 続く5分、8分にもトライを畳みかける。自陣からの連続攻撃で、最後はWTB長谷川が個人技で3人を鮮やかに抜き去り14-0。
 8分にはCTB福田、LO坂本瞭がロングゲインで一気に敵陣22㍍ラインに迫る。WTBタウファテビタ悦幸のサイドステップからCTB福田がゲイン、パスを受けたFB太田啓嵩が左タッチライン際を駆けた。

 10分で21-0とし、なおもCTB福田がジャッカルを起点にゴール前でのラインアウトを得る。勝負を決めにきた。
 しかし、スローは乱れ、直後にはジャッカルにアタックを阻まれる。

 ギリギリでピンチを脱した常翔は、ここから反撃に出た。NO8岩本有伸主将がハドルで喝を入れた。
「焦ったらあかん、やらなければいけないことをやろうと。スコアボードを指差して、10分で21点取られたので、(前半の残り)20分あれば倍取れる、向こうにできたことは俺らにもできると伝えました」

 SO神田丈英の50/22キックから大きく流れが変わった。16分、ゴール前でパスを受けたFL井元章介が突破。井元は26分にも内に切り込んで連続トライを挙げた。NO8岩本主将のジャッカルが起点となった。
 その3分後にはセンタースクラムからBKでつなぎトライを取り切る。CTB内田元がスコア、同点に追いつく。

 攻撃の手を緩めなかった常翔は前半終了間際にも、自陣からの連続攻撃で相手の反則も得ながらゴール前へ。最後はピック&ゴーで、FL井元がハットトリックを達成した。

 28-21と逆転した常翔は、後半に入ってもフィジカルを前面にスコアボードを動かす。CTB為房幸之介のカウンターアタックを起点に、SO神田がラインブレイク、ゴールラインを割った(13分、35-21)。

 報徳も終盤は意地を見せ、長い時間のアタックからFB太田のトライで点差を縮める。直後にPGを許して26-38で迎えた、後半33分にはキックオフを再獲得してまもなくWTBタウファがインゴールに飛び込んだ。ゴールは外れたが、7点差に迫った。

 なおもノーサイドの笛は鳴らず、センタースクラムからアタックを仕掛ける。しかし、最後に笑ったのは常翔学園。FL上野昴輝のジャッカルが決まった。

 敗れても傑出したパフォーマンスを見せたCTB福田は、「1、2回戦は助けられてばかりで何もできなかった。今日はやってやろうと。少しは貢献できたと思います」と振り返り、「サイズは向こうのほうが圧倒的に上なので、自分たちは走り勝とうと。ただ、最後は僕らの方が走れていなかった。力負けです。兵庫帰って、そこをもう一度やるだけ。花園でリベンジします」と話した。

 勝った常翔は8年ぶりに準決勝(翌29日)へと駒を進めた。

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