【イングランド×NZ】トゥイッケナムでの大勝負は25-25の引き分けで決着。
8万人を超える大観衆のトゥイッケナム。
注目の中行われたイングランド×ニュージーランドの大勝負は、25-25の引き分けで決着となった。
日本戦の快勝はともかく、その前のアルゼンチン戦、さらには2勝3敗で3位と不調に終わったシックスネーションズからその立ち上がりの悪さが指摘されていたイングランドに対し、NZが強烈な先制を見舞った。
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3分には、イングランドのジャック・ヴァンポートヴリート(SH)のラインアウトからのパスアウトのタイミングを見事に読んだNZのダルトン・パパリィイ(FL)がインターセプト。中盤からそのまま走り切り、先制トライを挙げる。
さらに8分にはラインアウトからモールを押し込み、コーディ・テイラー(HO)が押さえた。NZが、試合開始10分も経たずにあっという間に14点のリードを奪った。
この後、NZはケイレブ・クラーク(WTB)の鋭い走りや、リズムの良い連続攻撃でイングランドディフェンスを振り回し続ける。対するイングランドは、この日は本来のNO8ではなくブラインドサイドFLとして出場したサム・シモンズ、チームの状況によってNO8もこなすトム・カリー(FL)、ビリー・ヴニポラ(NO8)という3人のNO8がラックの近場を突破する形でプレッシャーをかけた。
拮抗したやり合いが続いたが両チームともトライには繋がらず、両チームがPGで3点ずつを追加し、3-17で前半を終えた。
後半に入り、イングランドはマーカス・スミス(SO)のPGで6-17と点差を詰めるが、NZがボールを大きく動かし続けて攻める展開が続いた49分。ボーデン・バレット(FB)のキックパスを見事にキャッチしたクラークからボールを受けたリーコ・イオアネ(CTB)が、追いすがるイングランドディフェンスを振り切りトライ。6-22とリードを広げるた。イングランドは、マヌ・トゥイランギ(CTB)、ジョニー・メイ(WTB)などのラインブレークからチャンスを作り出すが、トライまでもっていくことができない。
リッチー・モウンガ(SO)の狭いスペースを抜きにいく巧みなサイドステップや、連続するオフロードパスなどで攻め続けるNZ。イングランドは、これを必死のカバーディフェンスで何とか凌ぐ展開となった。70分にはボーデン・バレットのドロップゴールで6-25まで点差を広げ、試合は決まったかのように見えた。
しかし、その直後のプレーでバレットをイエローカードで失ったNZに対し、8万人超の観衆の大合唱「スイング・ロウ」に背中を押されるイングランド。71分にゴール前の密集からウィル・スチュアート(PR)がねじ込んでトライ。
73分には、接近戦での必死の繋ぎからチャンスを作り、最後はフレディ・スチュアード(FB)が抜け出してトライを奪った。あっという間に18-25となる。
79分には再びスチュアートがゴール前のラックサイドからパワーでネジ込み、ゴールも決まって25-25の同点まで追いついた。
観衆が息を飲み注目するラストワンプレーのキックオフ。
その後のラックから出たボールを自陣22メートル内で受け取ったSOスミスは、タッチに蹴り出し、引き分けでの終了を選択。勝利を期待したイングランドサポーターからはブーイングの声も聞かれたが、引き分けまで追いついたイングランドは何とか面目を保つ形で試合を終了した。
この弱気とも取れるスミスの判断には試合後の記者会見でも質問が飛んだが、キャプテンのファレルは「前に出ながらのラックから素早くボールが出てくれば攻めたかも知れない。マーカス(・スミス)の判断に異議はない」とコメント。
エディー・ジョーンズ監督も、「グラウンド上の判断は選手たちがするもので、私はいつでも選手たちの判断が正しい、と信用しています」と、23歳の若き司令塔の判断を指示した。
70分の時点で19点のリードを保っていたニュージーランドのイアン・フォスター監督は、「今日の試合は最初の70分と最後の10分で別々の記者会見が必要なくらいです。勝つべき試合を勝ちきれなかった」とコメント。
キャプテンのサム・ホワイトロックは「いい点差のリードを保っていたが、終盤で急激に点差を詰められていくという悔しい試合となった」と残念さを滲ませた。
ニュージーランドはこれで今年のテストマッチの全日程を終了。夏のテストシリーズでアイルランドに2敗、ザ・ラグビーチャンピオンシップではアルゼンチンと南アフリカに1敗ずつを喫し、9勝4敗で2022年シーズンを終了した。
今年はこれまで5勝5敗1分と不調が続いているイングランドは、11月26日のオータム・ネーションズシリーズ最終節、南アフリカ戦で2022年の日程を終了する。