大学選手権行き決定の流経大は、「伸びしろしかない」。
勝って反省し続けてきた。
前年度から順位が大きく入れ替わっている関東大学リーグ戦1部にあって、流経大は6戦5勝で勝点21。最終週を残し、2季ぶりの大学選手権進出を決めている。
もっともその時々で反則、エラーといった課題が出ているからか、試合後に満面の笑みを浮かべることはほぼ皆無か。付属の流経大柏高時代に同校史上初の全国4強入りを果たしているCTBの土居大吾主将は、取材に応じる流れで言った。
「伸びしろしかないと思っている。どんどん成長していけたら」
一昨季まで11季連続リーグ戦3強以上も、昨季は夏場のクラスター発生が災いして8チーム中5位。捲土重来を期して臨んだ今季は、4勝1敗の勝点17で迎えた第7週に第一関門を突破する。
11月13日、栃木・足利ガスグラウンドでの立正大戦を38-31で制した。一時は14点差をつけられながら、5勝目をつかんだ。7点差以内だったのはシーズン3度目だ。
ラグビーでの7点差は1トライ1ゴールで追いつくという僅差の証。今季昇格したての立正大とかくも競り合ったわけは、向こうの土俵に引きずりこまれたからだろう。
徹底したキック戦法に苦しんだ。立正大では序盤からSOの吉永崚らが高い弾道を蹴り込み、落下地点へはCTBのキニ・ヴェイタタ、FBの清永修太郎らが駆け上がる。捕球役へ刺さる。なぎ倒す。流経大は前半5分、35分にその形で危機を迎え、失点した。
立正大はシーズン序盤から足技に活路を見出していて、敵陣の深い位置でもハイパントから混沌を生み出していた。特に接点の後ろからSHの中森隆太が蹴り上げることが多く、バックスリーと呼ばれる後衛の立ち位置もその弾道を意識したものになる。
その傾向は流経大の陣形にも見られたようで、吉永は空いたタッチライン際へのキックパスも活用した。
流経大は後半13分頃、自陣ゴールエリアで中森のハイパントを一度は確保。ただし蹴り返したことで与えたラインアウトを起点に、吉永のキックパスを食らう。左端から右端へ球を通され、自陣ゴール前でラックの連取を許す。LOの八木崇太のトライと吉永のコンバージョンで17-31と点差をつけられた。
流経大の土居は、立正大の戦法を事前に確認済み。練習で控え組にシミュレーションしてもらい、対策を練ってきた。それでもいざ当日を迎えれば、「(ボールを)獲得できずに、自陣で苦しい時間を続けてしまって…。来るとわかっていても、苦戦する場面が多かったです」。似たようなチームと戦ったことがないだけに、手こずるのも自然だったか。
終盤戦に突入するタイミングで、14点差をつけられた。しかし土居は、「正直、負ける、とかは思わなかった」。動じなかった。
「(流経大も)敵陣に入れる時間はあった。前半はそういう時に(点を)獲りきれずに終わったので、焦らずに一本、一本、取っていこうと話しました」
得点機以外にも敵陣でチャンスを作っていただけに、詰めさえ甘くなければ逆転できると踏んだ。
果たして後半38分に自らのトライで勝ち越すまで、推進力を活かして3トライを奪取。特にシーズン途中から先発入りのルーキー、ティシレリ・ロケティが、NO8として生来の突破力を披露していた。
主将は安堵の顔つきだった。
「最終的に、まとまるべきところでまとまって勝てた」
いずれにせよ流経大は、ひとまず大学日本一への挑戦権を確保して最終週へ入る。
27日の東京・江戸川区陸上競技場での法大戦では、試合の意義づけが曖昧になりかねないとあり、個々のモチベーションが焦点となるか。
パフォーマンスの一貫性を得たい土居は、「練習でしてきたものを試合でどれだけできるか(が鍵)。なぜ練習でやっていることが試合でできないのかを、次の最終戦までにレビューしたいです」と己に言い聞かせる。