海外 2022.11.04

韓国伝統の定期戦、4年ぶりに開催。高麗大が57-24で延世大を圧倒!

[ 見明亨徳 ]
韓国伝統の定期戦、4年ぶりに開催。高麗大が57-24で延世大を圧倒!
延世大ラインアウト。学生の声援を受けて戦う(写真提供:延世大スポーツSISBOOMBAH)


 韓国ラグビー界伝統の一戦、「2022 高麗大 延世大 定期戦(高延戦)」が2018年以来4年ぶりに10月29日、ソウル高陽運動場で開催された。ラグビー競技は正午12時に日本協会に大韓協会が仲介し派遣された梶原晃久レフリーの笛で始まった。

笛は大韓ラグビー協会が仲介し梶原晃久氏が吹いた(写真左端)、崔潤大韓協会会長(2人目)、関谷惇大レフリーはTMO担当(3人目)、呉英吉大韓協会理事(右端)

 高麗大が前半3、後半5の計8トライを奪い、57-24(前半25-17)で勝利。定期戦の栄冠は2014年以来8年ぶりで、今季に限っては3連勝だ。定期戦での33点差は最多得点差という。

 観戦した延世大OBで日本代表PR具智元の父・具東春さん(前・三重ホンダヒート スクラムコーチ)は「指導陣の差。高麗はテンポが早いラグビーを身につけていた。延世はこれまで通りのラグビー。高麗は、日本や世界ラグビーの最先端を指導陣が勉強している、と聞きました」。母校に厳しい評価を下した。

 前半は拮抗した。
 先制は延世。2分に敵陣に入るとSOソ・ウヒョンが確実にペナルティゴール(PG)を蹴りこんだ。
 しかし2分後、高麗はラインアウトから反撃し、左WTB金ヨンヒョが逆転トライ。ゴールキック(G)はSO金ヒョンジンが失敗するも5-3となった。そして、11分のファーストスクラムから優位にたつ。PRシン・ギス、HOチェ・ホヨンは今年のアジアチャンピオンシップ韓国代表だ。スクラムから高麗が右へ回し、FL金チャンジュがインゴールへ運ぶ。G成功で12-3。

 延世も意地を見せる。20分、主将のFLヤン・ジヨンがトライを奪い、Gはソが決めて12-10と2点差に。
 だが3分後、高麗がインサイドCTBオ・ムンソンのトライ、Gで19-10とリードを保つ。
 5分後、延世NO8ユン・ヨンミンのファイブポイントで19-17と再び2点差に。
 しかし確実に高麗は敵陣へ入ると34分、40分と延世の反則からSO金ヒョンジンがPGを決めて25-17で主導権を握る。

お互いに激しく戦った(写真提供:延世大スポーツSISBOOMBAH)

 後半は高麗が5トライを加えた。まずは5分、つないでPRウォン・ジヨンホが決めた。7分後にはSO金ヒョンジョンがPGを成功し33-17とリードを広げる。とどめは15分、韓国代表のPRシン主将が左タッチ際を快走し飛び込んだ(38-17)。17分にもSO金がトライとGで45-17と勝利を確定した。高麗はその後、2トライ追加。延世の後半の反撃を29分のPR金テウの1トライに抑えた。

 勝利した高麗大の指導陣。監督は李光紋(イ・グァンムン。FL/LO、元東芝ブレイブルーパス、トヨタヴェルブリッツ、韓国電力、サントリーサンゴリアス)、FWコーチは金光植(キム・グァンシク。PR、元日野レッドドルフィンズ、ホンダヒート、NECグリーンロケッツ)、BKコーチは蔡宰榮(チェ・ジェヨン、元三菱重工相模原ダイナボアーズ、三星重工業、東芝ブレイブルーパス)と3人のトップリーグ経験者だ。
 在籍した日本チームとも連絡をとり、最先端の練習方法などを学んでいるという。李監督は現地の取材に「基本スキルの習得に取り組んできた。選手に感謝している」と答えた。

 1T、4G、3PGの22得点でMVPを獲得したSO金ヒョンジョンは「緊張しましたが、言葉では言い表せないほど勝利を嬉しく思います。4G、3PGについて李監督から何度も反復練習をするように言われました。大事な場面でもよいキックができた」と試合を振り返った。
 主将のPRシン・ギスは延世の先制トライにも「心配はなかった。(自身のトライには)延世のディフェンスのミスでライン際があいていた」と言う。さらに入学後、初めての高延戦だった。「ラグビーは人気がない競技なのでこんなにたくさんの観衆が来てくれるとは。ご支援に感謝します。今後もラグビーに関心を持ってください」と結んだ。

 一方、延世大は数十年、指揮し多くのトップリーガーを日本へ送り込んだ金道絃(キム・ドヒョン)監督が今年、定年退職した。ハン・ヨンフン氏が継いだ。しかし参謀になるはずだった2016年にクボタスピアーズからBKコーチに就任した李明根(イ・ミョングン、元クボタ、ワールドファイティングブル)は延世を離れ、現在は韓国代表7人制、15人制コーチに。選手に世界レベルを指導することができなくなったか。

 具氏は指摘する。「高麗は選手たちが次に何をするか自信をもっていた。延世は何をすればいいかわからないようだった。高麗大有利がしばらく続くのでは」と杞憂を示した。

母校・延世大の敗戦を分析した具東春氏。写真はホンダコーチ時代(撮影:見明亨徳)

◆高麗大 57-24(前半 25-17) 延世大
*高麗8T4G3PG(前半3T2G2PG)、延世3T3G1PG(前半2T2G1PG)

定期戦は5競技対戦する。高麗がラグビー、アイスホッケー、バスケットで勝利。野球、サッカーは延世が制した。4年ぶりの大会は総合成績3勝2敗、高麗が優勝した。

4年ぶりに沸いたライバル対決(写真提供:具東春氏)

<高麗大 vs 延世大、2011年から22年までの主な結果>
■2022年
・延世 24-57 高麗(10/29定期戦)
・延世〔実施なし〕高麗(ソウル市長旗大会)
・延世 19-27 高麗(5/7コリアSR2次大会)
・延世 12-48 高麗(4/9コリアSR1次大会)

■2021年
・延世〔コロナ禍で中止〕高麗(定期戦)
・延世 13-19 高麗(7/20大統領旗)
・延世 15-35 高麗(7/6ソウル市長旗大会)
・延世 18-18 高麗(4/18春季リーグ)

■2020年
・延世〔コロナ禍で中止〕高麗(9/19定期戦)
・延世 15-5 高麗(7/14月春季リーグ戦)

■2019年
・延世〔台風で中止〕高麗(9/7定期戦)
・延世 38-12 高麗(ソウル市長旗大会)

■2018年
・延世 31-15 高麗(10/6定期戦)
・延世 38-0 高麗(6/8ソウル市長旗大会)
・延世 40-21 高麗(4/2春季リーグ)

■2017年
・延世 26-21 高麗(9/23定期戦)

■2016年
・延世 27-26 高麗(9/24定期戦)

■2015年
・延世 24-21 高麗(定期戦)

■2014年
・高麗 33-23 延世(定期戦)

■2013年
・高麗 20-17 延世(定期戦)

■2012年
・延世 15-13 高麗(定期戦)

■2011年
・高麗 8-5 延世(定期戦)

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