【オールブラックス】両CTBにアピールチャンス。ロジャーは初先発掴む。
10月29日、チケット完売の国立競技場で日本代表と対戦するニュージーランド代表、オールブラックスは、先のザ・ラグビーチャンピオンシップでプレータイムを得られなかった選手を多く起用する。
両CTBにとっても、大きなアピールチャンスが与えられた。
今夏のアイルランド戦で初キャップを得たロジャー・トゥイヴァサ=シェックは背番号12をつける。3キャップ目で初先発を飾る。
「自分にとってとても大きな出来事です。自分と、そして家族も嬉しく思っています。オールブラックスでスタメンで出ることを楽しみにしていました」
コンビを組む13番のブレイドン・エノー(5キャップ)は昨年11月以来、約1年ぶりの先発機会を得た。
2019年7月に、22歳でオールブラックスデビューを飾ったエノーは、2020年秋に右膝前十字靭帯を断裂していた。
「ずっとこのチャンスを待っていました。チームに入ることができたことを嬉しく思っていますし、ケガもありましたがここまで来られたことに感謝しかないです」
CTB争いは熾烈だ。デイヴィッド・ハビリ、リーコ・イオアネ、12番も担えるジョーディー・バレット、ケガから復帰したアントン・レイナートブラウン(日本戦は23番)、さらにケガで離脱中のジャック・グッドヒュー、クイン・トゥパエアらが鎬を削る。
多くのタレントが揃うなかで、エノーは「25歳になって若い選手ではなくなりました。今回のチャンスをものにして、自分にできることをアピールしたい」と話す。
真横で「ブレイドンとは違って自分は29歳。もう若くはない」と笑うロジャーは、「一瞬一瞬楽しんで、自分のできることを果たしたい」と決意を述べた。
昨年までラグビー・リーグ(13人制)のスター選手だった(NZ・ウォリアーズ所属)。2018年にはNRLで最優秀選手にも輝いたが、コロナをきっかけにこの1月からユニオンに転向した。
「ユニオンでいつかやりたいという程度の気持ちがずっと続いていました。でもコロナになってオーストラリアから帰れない時期があり、長く家族にも会えなかった。そこですべてをかけて、ユニオンにチェンジしようと。それからは自分の力を信じて、なんとかここまで来れました」
ロジャーはまず、オークランド代表としてNZの国内選手権(NPC)で15人制デビュー。ブルーズでもプレーし、半年足らずで黒衣軍のジャージーを掴んだ。
「オークランドではコールの仕方を学びました。ユニオンとはリーグでは違いがあります。そこの理解から始まりました。ブルーズでは12番として役割を深く勉強しました。パス、キックの仕方、走るコースだったり、詳細な部分をしっかり理解できた。今回、オールブラックスに入って、さらにレベルアップした環境でブレイドンのような選手とプレーし、フォスターHCやジョー(シュミット)コーチなどいろんな人に助けてもらい、スタメンを勝ち取ることができました」
ともに警戒する日本の選手は、トイメンにあたる両CTB、中村亮土とディラン・ライリーだ。エノーは「動画で細かくチェックしているが、良いコンビネーションを持っているし、足も速い。彼らと対戦できることを楽しみにしている」。
ロジャーは、チーム内にいる日本でのプレー経験がある選手たちから、日本の情報を仕入れた。
「日本代表のなかにもニュージーランド出身の選手、コーチがいるので、われわれと似たような、ボールをスペースに運ぶアタックをしてくると思う。そこではディフェンスの幅を守ることが大事です。勢いに乗らせるとその幅をカバーするのが難しくなるが、うまくスペースを守りたい」
今後、12番を勝ち取るためにどこをアピールしたいか問われたロジャーは、「まず大事になるのは1対1で勝つこと」だと答えた。
「1対1で前に出て、勢いを作りたい。ディフェンスではまだ学んでいる段階だけど、これまでの(リーグでの)経験も生かしたい。+αのことができると思っています」
エノーは攻守にスピードで勝負したい。特にディフェンスの貢献を掲げる。「強く激しくタックルする。相手のプレーを上手く読んで、仲間に伝える」と自分の役割は明確だ。
左足のキックも、他の選手と違いを出せる武器になると話す。
来年に迫ったワールドカップでのメンバー入りを夢見るハングリーな両CTBが、赤白ジャージーに全力でぶつかる。