【全国U18女子セブンズ大会】最後に結実。石見智翠館が3年ぶりに頂点へ。
嬉しさの大きさは、声の大きさと胴上げの高さが示していた。
「勝ったぞー」
磯谷竜也監督が喜びの雄叫びをあげた。
同監督、冨岡日和主将、チームスタッフらを全員で宙へ放り投げる。
みんな笑顔だ。
10月22日、23日に熊谷ラグビー場で開催された第5回全国U18女子セブンズ大会で、石見智翠館高校が頂点に立った。
プールステージで鳴門渦潮高校、福岡ラグビーフットボールクラブをそれぞれ32-5、26-5と破り、カップ(最上位)トーナメントへ進出。PEARLS U18に19-5と勝って決勝へ進出し、頂上決戦で佐賀工業高校に19-12のスコアで勝った。
決勝は、チームの積み上げてきたものが出た試合だった。
キックオフボールをレシーブし、攻撃を継続する相手に対してしつこく守り続け、反則を誘う。
攻撃に転じ、左ライン側を駆け抜けた宮本和(のどか)が先制トライを挙げた。
追加点は5分。佐賀工のラインアウトをカットしてボールを手にすると、コミュニケーションの取れたアタックで攻め切る(大西乃々)。
その2分後にも相手反則から切り返してトライ(大橋聖香)。
前半終了間際に佐賀工の町田美陽にインゴールへ入られるも、前半を19-5とリードした。
石見智翠館の戦いぶりは後半も安定していた。
佐賀工がボールを持つ時間も多くあったが、慌てることなくディフェンス。失トライは6分に許したものだけで、堂々と勝利をつかんだ。
3年ぶり3度目の優勝だった(全国選抜女子セブンズでは4度優勝)。
今年のチームもなかなか勝てず、勝利の味を知らぬままこの大会を迎えていた。
それだけに磯谷監督は、選手たちの笑顔を見ることができて自分も目尻を下げた。
「ディフェンス力が高まったのが勝利の要因だと思います。やってきたことを出し切って勝ってくれたことが本当に嬉しい」
きっかけは国体だった。OGたちと一緒に戦った時間を通し、声の大切さを学んだ。
部に戻った選手たちが率先して声を出すようになり、コミュニケーション力が高まる。それが特に防御を強くし、攻撃の幅も広くした。
日本一になれぬ時代を過ごし、自分たちの代で頂点に返り咲いたキャプテンの冨岡は、胴上げされた気分を「もう最高でした」と話した。
「これが、(部の歴史を築いてきた)先輩たちが見てきた景色なんだな、と」
その姿を見た後輩たちが、また新たな歴史を重ねていく。