各国代表 2022.10.22

11月12日、トゥイッケナムでジャパンを迎え撃つ。イングランド代表の顔ぶれ

[ 竹鼻智 ]
11月12日、トゥイッケナムでジャパンを迎え撃つ。イングランド代表の顔ぶれ
日本への特別な思いを胸にテストマッチを迎える指揮官、エディー・ジョーンズ。(Getty Images)



 2022年大会のシックスネーションズでは、2勝3敗で3位と不調に終わった。
 夏のオーストラリア遠征では初戦を落としながらも残りの2戦で勝利を挙げ、何とか勝ち越しで遠征を終えた。
 そのイングランド代表が、この秋の代表メンバーを発表した(10月17日)。 

 秋を迎えると、イングランドラグビー界に残念なニュースが流れた。
 イングランドのプレミアシップはプロリーグとしてのビジネスモデルが上手くいっておらず、ウスター・ウォーリアーズ、ワスプスが破産を宣告したのだ。
 選手たちだけでなく、コーチ陣、クラブ職員たちが仕事を失うことになった。

 しかし幸か不幸か、この2チームから今秋の代表戦に招集されたのは、ワスプスのジャック・ウィリス(FL/NO8)のみ。両チームの破産はプレミアシップ史上最大の悲劇ではあるが、代表への影響はほとんどない。

「今回のプレミアシップの破産劇は、正直言って我々にはあまり関係ありません。ジャックには、最高のコンディションで代表合宿に参加して貰いたいですね」

 代表発表記者会見でハッキリと事実を述べたのは、ご存じエディー・ジョーンズ監督。ウィリスはクラブでの試合がない。そのため負傷するリスクがないだけではく、痛めている箇所を休め、フィットネスを徹底的に上げる大チャンスに恵まれているとのことだ。

 この秋の代表発表の注目として、チームのキャプテン人事がある。
 ジョーンズ政権下では、オーウェン・ファレル(SO/CTB)が絶対的なキャプテンを務めてきた。しかし、今年の夏のオーストラリア遠征に続き、この秋もキャプテンはコートニー・ロウズ(LO/FL)になる予定だという。

「炎のキャプテン」という言葉がよく似合う武闘派のファレルに対し、非常に落ち着いた性格の持ち主として知られるロウズ。試合となればロウズも激しいプレーを全面に押し出すが、2人の性格は、本当に好対照だという。
 全く違うタイプのリーダーをチームの二本柱として置くのが、ジョーンズ監督の方針なのかもしれない。

 これまで主力を担ってきた、走攻守揃った技巧派BKのヘンリー・スレイド(CTB)、エリオット・デイリー(CTB /WTB /FB)は、揃って落選した。
 イングランドの次世代を担うとされる期待の若手、マーカス・スミスがSO専門のため、ファレルは必然的にCTBで出場することになる。

 これに、破壊的な突破力とスピードを持ったマヌ・トゥイランギ(CTB)が長い負傷の後にようやく代表に復帰した。
 CTBは超激戦区だ。

 バックスリーにはベテランと若手が上手く混ざりあっている。
 ジョニー・メイ(WTB)、ジャック・ノーウェル(WTB)などの2019年W杯組に、フレディ・スチュアード(FB)、マックス・マリンズ(WTB/FB)、ヘンリー・アランダル(WTB/FB)などの若手が入る。

 FWでは、不調で代表を外される時期もあったヴニポラ兄弟(マコ/PR、ビリー/NO8)が揃って代表入りた。
 常に安定したパフォーマンスを見せ続けるマロ・イトジェ(LO/FL)も当然の招集だ。

 そしてこの秋の注目FWとして、カイル・シンクラーとエリス・ゲンジのPRコンビがいる。
 両選手ともに頭に血が上りやすいタイプで乱闘の中心になることも多いが、相手をなぎ倒して走り続ける馬力は世界トップレベル。それだけではなく、器用なパスプレー、意外なサイドステップも見せる。今シーズンからブリストル・ベアーズで共にクラブの試合を戦っている。日本代表にとって、ふたりは要注意人物となる。

「4年前の日本代表戦は前半に2軍の選手を出して、5点ビハインドで折り返しましたが(10-15)、後半に1軍を投入してキッチリと勝負をモノにしました(イングランドは後半25得点、35-15でイングランドの勝利)。今年の試合ではどうするかと日本人の記者に聞かれれば、それは試合を見てくださいとしか言いようがありません。日本は私にとって特別な国ですが、試合は試合。全力で叩き潰すだけのことです」

 時折笑顔を見せながらも、仕事は仕事と割り切る闘将。
 この秋のイングランド代表は、日本代表にとって間違いなく手強い。

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