ワールドカップ 2022.10.15

【RWC2021】ブラックファーンズ、2戦目はメンバー大幅入れ替えへ。

[ 松尾智規 ]
【RWC2021】ブラックファーンズ、2戦目はメンバー大幅入れ替えへ。
WTBからFBへポジションを変えて2戦目に挑むルビ・ツイ。(Getty Images)



 ニュージーランドラグビーの聖地・イーデンパークに大観衆を集めて幕を開けたRWC2021ニュージーランド(以下、NZ)大会。
 地元の観客の後押しを受けて開幕戦を白星発進したNZ代表、ブラックファーンズは、10月16日 にワイタケレ・スタジアムで開催されるウエールズ代表との第2戦に向け、大幅にメンバーを入れ替えた。

 開幕戦でブラックファーンズは、いつもより長いハカを披露した。
 それには理由がある。
 ワールドカップの開幕戦であること、そして自国開催でNZの地に来てくれた各チームに対して敬意を示すためだ。「カランガ」と呼ばれるウエルカムバージョンを、通常おこなっている「コ・ウヒア・マイ」のハカの前に取り入れたのだ。

 女子ラグビーにおける、かつてないほどの観客を前に、ブラックファーンズのいつもより気持ちの入った素晴らしい「ハカ」に、ただただ感動した。

 ハカで気持ちが入りすぎた感のあるブラックファーンズ。序盤は、硬さが見られてミスが目立った。その影響もあり、まだ一度も負けたことがないワラルーズ (女子オーストラリア代表)相手に前半は終始押されて3トライを許した。

 しかし、そこから立て直す。後半に入り大爆発したブラックファーンズの凄さが見えた。
 17点のビハインドから圧勝(41−17)は、簡単ではなかったはずだ。

 見事な逆転劇には、サラ・ヒリニ、ポーシャ・ウッドマン(3トライ)、ルビ・トゥイ(2トライ)、ステイシー・フルーラーらの昨年の東京オリンピックのセブンズで金メダルを取った選手たちのパフォーマンス、そしてセブンズの世界大会の大舞台での経験が大きかった。

▼ブラックファーンズ、対ウエールズ戦のメンバー

 以前から指揮官ウェイン・スミス(以下、HC)がプール戦はメンバーを固定しないと明言していたように、開幕戦から大幅にメンバーの変更をした。

 先発メンバーに残ったのは、チェルシー・ブレムナー(LO)、共同キャプテンのルアヘイ・デマント(SO)、ポーシャ・ウッドマン(WTB)、そして14番から今回15番にシフトチェンジとなったルビ・トゥイの4人のみとなった。

 依然として共同キャプテンのケネディー・サイモン(FL/NO8)、パワフルなランが持ち味のアイシャ・レティ・イイガ(WTB)は、ケガが癒えず2戦目も欠場。これらは懸念材料だ。

 しかし、ケガからの復帰組がいるのは明るい材料だ。
 ターニャ・カルーニバレはケガから復帰して3番のポジションに入る。パワフルなボールキャリーでディフェンスを蹴散らすプレーを見せてくれるに違いない。
 カルーニバレの復帰は、プレーオフでフランス、イングランドとの試合を見据えて大きなものとなるだろう。

 2戦目も欠場と思われていたアラナ・ブレムナーが復帰して6番に入り、姉のチェルシー(LO)と姉妹揃っての先発となり、ラインアウトのさらなる向上が期待される。
 ブレムナー姉妹のワークレートの高さは、ウェイン・スミスHCが目指す速い展開のラグビーのカギになる。

 CTB陣は、初戦からがらりと変えて12番テレサ・フィッツパトリック、13番シルビア・ブラントの新しいコンビにしたのは興味深い。

 フィッツパトリックは前回大会の優勝メンバーで、昨年の東京オリンピックのセブンズでは金メダルを獲得している。経験豊富で注目したい。この試合でアピールし、レギュラー争いに食い込めるか。
 ブラントは18歳ながらも、ワールドカップのスコッドに入り、開幕戦も途中出場で10代とは思えぬ落ち着いたプレーをした。
 今回は先発でどんなプレーをしてくれるだろう。

 14番に入ったレニー・ウィクリフも前回大会の優勝メンバー。通算4度目のワールドカップと経験豊富だ。
 ポジション争いがもっとも激しいWTBのポジションを取るためにアピールしたい。
 開幕戦でワークレートの高さ、そして決定力のあるランで勝利に貢献したWTBルビ・トゥイを15番で起用するのは興味深い。今年インパクトのあるプレーで大活躍しているアイシャ・レティ・イイガが復帰した時に、トゥイを15番で使えるかどうかを試しているのかもしれない。

 ヘーゼル・トゥビック(SO/FB)は、今回もベンチスタートとなったが、プレイオフの隠し玉としている様子がうかがえる。
 その他のベンチもサラ・ヒリニ(FL)、チームの大黒柱のケンドラ・コックセッジ(SH)など経験豊富な選手が控え、大幅にメンバー変更しても強力な布陣と言える。

 準々決勝まではローテーションでベストなメンバーを模索していくようだ。これが功を奏するかどうか興味深い。
 連覇を狙うにあたって、プレーオフで対戦すると思われるイングランド、フランス相手に勝利するには、初戦のハンドリングミス、そしてBKのラインディフェンスの改善が必要になってくるだろう。
 攻撃力は初戦で示したように申し分ない。2戦目は、ブラックファーンズが立ち上がりから安定感のあるラグビーをできるか注目だ。

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