ジャパンが豪州Aとの最終戦で勝利。坂手主将「この3連戦で成長」、次はオールブラックス戦。
タレント揃いのオーストラリア代表予備軍(オーストラリアA)相手に3連戦シリーズの負け越しが決まっていた日本代表だが、JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)として臨んだ「アサヒスーパードライ JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2022」の最終戦で意地を見せ、勝利をつかんだ。10月14日、大阪のヨドコウ桜スタジアムで奮闘し、激しい点の取り合いを52-48で制した。
ジャパンは試合の入りがよく、前半2分、ハーフウェイでボールを回し、CTBディラン・ライリーがディフェンス裏のスペースにキックすると、そのバウンドボールが右WTB松島幸太朗の手に入り、パスを足に当てたFB山中亮平がインゴールに転がったボールを押さえ、先制トライとなった。
その後、同点とされたが、7-7で迎えた18分、ジャパンは相手の反則で敵陣深くに入り、ラインアウトからの攻撃でNO8テビタ・タタフが突進し、パワーでタックラーをはねのけ、黄色い壁をぶち破って再びリードを奪った。
今シリーズ初先発のタタフはブレイクダウンでも奮闘して相手の反則を引き出し、22分にも敵陣22メートルライン内に入ると、またもラインアウトからの作戦が決まり、HO坂手淳史のロングスローに合わせたLOジャック・コーネルセンがパスを折り返し、空いたスペースをタタフが抜け、そのままゴールに持ち込んで会場を沸かせた。
ジャパンペースは続き、27分にはテンポのいいパス回しからCTBライリーが抜け、約40メートル走り切って追加点。28-7とした。
だが、簡単な相手ではなかった。32分にドライビングモールで反撃され、36分にもジャパンはミスと反則が続いてオーストラリアにアタックを許し、たちまち9点差となった。
いやなムードになりかけたジャパンだが、39分、敵陣でのラインアウトからフェイズを重ね、クイック展開でFLリーチ マイケルがゲインして右外のWTB松島につなぎ、背番号14がインゴール中央に持ち込み流れを変えた。SO李承信は前半の5本のコンバージョンをすべて決め、35-19で折り返した。
ジャパンは後半の立ち上がりもよく、42分(後半2分)、リーチのラインアウトスチールで攻めに転じると、李のランなどで敵陣深くに入り、リサイクル後、CTB中村亮土が右外の広いスペースにいたリーチにキックパスを放ち、捕球、サポートに走ってきたLOコーネルセンがフィニッシャーとなった。23点差となる。
それでも、オーストラリアは粘り、じわじわと点差を詰め、60分にはブレイクダウンのターンオーバーからカウンターで大外にいたHOラクラン・ロナーガンがゴールに走り切り、コンバージョンも決まって7点差となった。
その後、入替で入ったばかりのPR竹内柊平がジャッカルを決めてピンチを脱出したシーンもあったが、オーストラリアの勢いは止まらず、67分、セブンズ代表として東京オリンピックにも出場したスピードランナーのWTBディラン・ピーチが左外を駆け上がって2人のタックラーを振り切り、トライ。最大23点差は20数分で2点差になった。
しかし、第1戦、第2戦とも終盤に逆転され勝利を逃していたジャパンは踏ん張り、71分、入替で入ったSO山沢拓也のハイパントとFB山中のチェイスで相手にプレッシャーをかけ、まもなく敵陣深くへ入る。そして、ラインアウトからモールをずらし、20番をつけたNO8ファウルア・マキシが仲間のサポートを得てラインを越え、インゴールに押さえリードを広げた。山沢がコンバージョンで貴重な2点を追加。
その後、ジャパンは懸命にディフェンスをし続け、終了間際に相手にトライを許したが、52-48で逃げ切り、今シリーズ初勝利を手にした。
ジャパンのジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、「前半はいいスタートを切れてトライも取れたが、自分たちにミスがあり、オーストラリアに勢いを与えてしまった。今日の試合でもたくさん学ぶことがあったと思う。改善すべきことはたくさんある」とコメントし、次の戦いを見据える。
キャプテンの坂手は、「悪いところもあったが、最終的に勝ててよかった。途中、相手の勢いに、自分たちのプレーができない時間帯もあったが、みんなコミュニケーションをとり合い、つながりが切れずにゲームを進められたと思う」と今夜の熱闘を振り返った。
日本代表は2週間後から強豪国とのテストマッチシリーズに臨み、10月29日には国立競技場(東京)で、今年の南半球王者であるニュージーランド代表“オールブラックス”に挑む。
坂手は「この3連戦で成長し、試合に勝つことができた。もっともっと成長して、次のオールブラックス戦はいいラグビーを見せて勝てるように頑張っていきたい」と力強く語った。