国内 2022.09.11

38-8。勝った早大、粘った青学大。スコアの裏にある両校の手応え

[ 編集部 ]
38-8。勝った早大、粘った青学大。スコアの裏にある両校の手応え
早大NO8相良昌彦主将。後半34分には自らトライも奪った。(撮影/松本かおり)



 前半7-3。後半に5トライを重ねて最終的には38-8とした。
 9月10日に駒沢陸上競技場でおこなわれた関東大学対抗戦の早稲田大学×青山学院大学は、勝った早大、粘った青学大とも、積み上げてきたものを出した開幕戦となった。

 先制は前半17分。早大は相手反則から得たPKを蹴り出し、敵陣深い位置でラインアウトを得た。
 そこでモールを押し、右へ展開。CTB松下怜央が切れ込んでインゴールに入った。
 SO守屋大誠がコンバージョンキックを決めて7-0とした。

 しかし、前半の主役は青学大だった。ルーキーのFL八尋祥吾の低く、鋭いタックルをはじめ、全員が激しく体をぶつけた。
 八尋は、「チームの目指すプラン、ロースコアのゲームをするのに、ディフェンス面で貢献できた」と話した。

 LO江金海主将も「ロースコアの試合に持ち込めた。風上の後半にエリアをとって攻めるプランだった」と話し、最初の40分に手応えを感じたようだ。

 試合終了間際に粘り強く攻めて1トライを奪ったものの、主将は後半の戦いについて反省した。
「この初戦に向けて、春シーズンからターゲットを絞ってやってきましたが、相手の強いアタック、ディフェンスに自分たちのやりたいことができなかった。後半はペナルティを重ねてしまった」
 次戦の帝京大戦に向け、ディフェンスをさらに磨き、規律高くプレーすることを誓った。

 早大は後半、青学大の反則を得点に結びつけた。
 ラインアウトからのモールで2トライ。ボールを動かして奪ったものが3つ。
 ラインアウトから、速攻からとシチュエーションはそれぞれ違ったが、すべてのきっかけは相手の反則だった。

 大田尾竜彦監督は、「いちばん良かったのは規律よく戦えたこと。ラインブレイクされたシーンもほとんどなかった」と話した。
 夏合宿ではディフェンスの整備に力を入れ、この日のSOにはタックルの強い守屋を起用した。「(スタンドの)上から見ていても、ほとんど穴はなかった」と評価した。

 注文をつけたのは、ブレイクダウンでの2人目、3人目の仕事についてだ。
「そこで前に出られなかったから、(全体的な)ポジショニングが浅くなり、攻撃が単調になっていた」

 ただ、頂点へのロードマップは頭の中にある。
 昨季を振り返り、チームを早く作り過ぎた反省がある。周囲に自分たちを研究させる時間も多く与えた。

「優勝するチームは秋以降に伸びる。昨年の帝京もそうでした。強くなる要素を持っていたので、シーズン終盤に素晴らしいチームになっていました」
 自分たちは今季ここまで、秋以降の成長を加速させるための部品作りを進めてきた。「強くなる要素を持っているチーム」と自信もある。

 開幕戦は、スコアの裏にあるそれぞれの思惑がおもしろい。
 各チームは夏を越えて成長し、秋、冬へ向けて進化を続ける。

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