女子 2022.08.29

歴代女子日本代表選手へキャップ授与。歴史的な夜に、心あたたまるセレモニー

[ 編集部 ]
歴代女子日本代表選手へキャップ授与。歴史的な夜に、心あたたまるセレモニー
日本ラグビー協会の土田雅人会長からキャップを授与される女子15人制代表キャップ第1号、岸田則子さん。(撮影/松本かおり)
試合前にはスタンドでキャップ授与式がおこなわれた。(撮影/松本かおり)
懐かしい仲間との再会に盛り上がった。(撮影/松本かおり)
ハーフタイムにピッチレベルで授与式に臨んだ6人。右から、岸田則子さん、渡辺志保子さん、鬼頭(旧姓・赤井)希久子さん、外山智香子さん、冨田真紀子さん、浅見敬子さん。(©JRFU)
参加した114名が大型ビジョンの前で記念撮影。(撮影/松本かおり)
女子ラグビーの歴史を築いた岸田則子さん。1946年生まれ。(撮影/松本かおり)



 あたたかな時間と空間が夕暮れの秩父宮ラグビー場にあった。
 8月27日におこなわれた女子日本代表×女子アイルランド代表のテストマッチの前、歴代女子日本代表へのキャップ授与式(代表戦出場試合数を表彰の意味を込め、キャップ数としてカウントする制度)が実施された。
 15人制、7人制の両代表選手が対象となった。

 15人制はシニアカテゴリーのテストマッチが対象で、1 試合ごとに1キャップを過去に遡って授与。セブンズは代表チーム同士で戦う国際大会に女子セブンズ日本代表として出場した選手に対し1大会ごとに1 キャップを与えた。

 女子日本代表については、2017年に日本ラグビー協会理事会でキャップを授与する方針が決定していた。2018年には、男女セブンズ日本代表についても授与が決まった。
 授与式は、以前から予定されていた。しかしコロナ禍により開催がずれ込み、今回のタイミングとなった。

 キャップ獲得の対象期間は、15人制は1991 年の「第 1 回女子ラグビーワールドカップ」以降、女子セブンズ代表は1999年の「香港ウィメンズセブンズ1999」以降。今回の授与対象者は15人制が197名、7人制が112 名いた。
 また、70名が両代表のキャップ資格者だ。

 当日は、一部の現役選手、都合のつかなかった方を除いた114名が式に参加した。
 試合前に大型ビジョン前で記念撮影をし、スタンドで実際のキャップ(帽子)を授与。15人制キャップ第1号で女子ラグビー発展の功労者である岸田則子さんや、元15人制代表の監督を務めた萩本光威さんらがプレゼンターとなり、一人ひとりにキャップを被せた。

 ハーフタイムには、岸田則子さん、渡辺志保子さん、鬼頭(旧姓・赤井)希久子さん、外山智香子さん、冨田真紀子さん、浅見敬子さんがピッチ上で、土田雅人日本ラグビー協会会長からキャップを授与された。

 岸田さんは記者会見で、「第1回W杯から31年が経っています。このような日が来るとは思わなかった。アメリカ、NZから来てくれた人がとても喜んでくれて、感激しました」と話した。

 自身は37歳でラグビーを始めた。夫が愛読していたラグビーマガジンに世田谷でのラグビー講習会に女性も参加できるとあったからだ。
 大学時から楕円球には興味を持っていたけれど、結婚、出産などもあり、それまでプレー機会に恵まれることはなかった。
 1983年のことだった。

 世田谷ラグビースクール女子部(現・世田谷レディース)を立ち上げ、やがて女子連盟を設立、新チーム、リバティフィールズへ。
 全国女子交流大会を開催し、1991年の第1回ワールドカップ(以下、W杯)出場のため、必要書類を揃えたり、選手登録作業などに奔走した。
 同大会では自身もPRとしてプレーした。

 第1回大会、第2回大会へ、選手たちは自費で参加した。
 第2回大会ではスウェーデンに勝ち、2002年大会(第4回大会)ではオランダを倒している。
 しかし、その結果はほとんど報道されなかった。

 時代は変わった。
 2002年に女子ラグビーは日本ラグビー協会に加盟。2004年からは、赤×白のサクラのジャージーを着ることができるようになった。
 そして2022年8月27日、秩父宮ラグビー場ではキャップ授与式がおこなわれ、女子日本代表×女子アイルランド代表を4569人のファンが見つめた。

 この日を「(日本の女子ラグビーの)あらたなスタート」と言った岸田さんは、W杯での8強進出を目指すサクラフィフティーンに向けて「期待しています。ベスト8を目指しているのなら、ベストを尽くして頑張ってほしい」とエールを送る。

 もっともっとラグビーをプレーする女性が増えてほしい。
「見るより、やる方が楽しいですよ」と言う岸田さんは1946年生まれ。昨年も試合に出場し、スクラムを組んだそうだ。
「ラグビーは楽しいスポーツ。ぜひ一度やってみて」と広く呼びかける人生は、まだまだ続く。


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