約3年半ぶりの代表戦。187センチ大戸裕矢は「運動量」「インパクト」を示したい。
だいたい「2歩くらい」。その差を埋めたい。
静岡ブルーレヴズ主将の大戸裕矢は、6月18日、東京・秩父宮ラグビー場で日本代表として今夏初のテストマッチにLOで先発。予備軍にあたるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)主体の編成で、ウルグアイ代表に挑む。
振り返れば2019年、8強入りしたワールドカップ日本大会前の代表選考へも名乗りを挙げていた。当時あったウルフパック、サンウルブズの一員として、ジェームス・ムーアら海外出身者としのぎを削った。
次のフランス大会まであと約1年。いまでは20歳のワーナー・ディアンズら、若き大型選手が台頭する。大戸は意気込んでいた。
「彼(ディアンズ)が持っていないところで勝負していきたい。前回のワールドカップの前の時も、ウルフパックやサンウルブズで行かせてもらったのに入れなかった。ということは、もう、2歩くらい足りなかったと感じでいます。まず、スコッド(正規の代表)に入る。僕はLOとしては小さいほう。もっともっとハードワークして運動量を上げて、自分の強みをアピールしたいとは思います」
身長187センチ、体重104キロの32歳。代表戦出場に伴うキャップは4つ、得てきた。一線級の舞台にあっては小柄だとしても、接点に顔を出し続けられる資質、勘所をおさえた動きに定評がある。
今年1月からのリーグワンでは、実戦全11試合にフル出場。かくして参入できた今度のNDSでは、空中戦のラインアウトでリーダーに抜擢される。アランド・ソアカイ アシスタントコーチと話し、チーム間でのサインの共有を促す。
11日、秩父宮。NDSが「エマージング ブロッサムズ」として挑んだ「トンガサムライXV」との慈善試合では、前半18分にオープンサイドFLで緊急出場した(〇 31―12)。
そして今度のウルグアイ代表戦では、定位置での先発機会が巡ってきた。初戦の前日にはこう述べていた。
「セットプレーと運動量は、ソアカイ コーチからも求められていますし、ジェイミー(・ジョセフ 日本代表ヘッドコーチ)もそのあたりを期待してくれていると思います」
本隊の日本代表は目下、宮崎でキャンプを張る。11日の「エマージング ブロッサムズ」で先発したLO辻雄康は、ひと足早く宮崎入りを叶えている。同日の本人の働き、日本代表側での故障者発生が考慮されてのことだ。
NDSに残された者にとっては「昇格枠」が狭まったようにも映るが、門戸が閉ざされたわけでは決してない。
大戸は2019年ワールドカップ前の時点で、日本代表のジョセフ ヘッドコーチから「タックルのインパクト」について指摘を受けていたという。
さらに今回からは、ジョン・ミッチェル新アシスタントコーチが日本代表の防御を教えている。2人がかりのタックル、ジャッカルで圧をかける防御システムを提唱。その内容を知る大戸は、自らの課題をこう整理していた。
「タックラーのリロードする(起き上がる)スピードが求められると思います。ダブルで(2人で)タックルした後、そこへ寝ているのではなくポジションにつかなければならないシステムなので。運動量は、求められると思います」
2018年11月24日のロシア代表戦(グロスター・キングスホルムスタジアム/〇32-27)以来となるテストマッチの舞台。相手を跳ね返す回数を増やすだけ、「スコッド」入りという目標へ近づけそうだ。