釜石SWがリーグワン初年度を振り返る。「ここにある理由」を来季も示したい。
首脳陣は来季に向けた準備も進めている。「来季はさらにレベルが上がるリーグになると思う」と小野主将も警戒を強める。
そんな中、今季限りでチームを退団する選手は17名にものぼった。そこには20代の日本人選手や主力で活躍した海外選手も多く含まれていた。大量に選手が入れ替われば、チームカルチャーの醸成やチーム力の向上は難しい。
ただし、今回の退団は「個人の事情でチームを去る選手もいる」と桜庭GMは説明。ケガで現役引退を余儀なくされた選手、社業専念を含めたセカンドキャリアを考えた選手が多くいたという。
「長い期間、チームに貢献してくれている選手は大事です。ただ個人の考え方を尊重しつつ、強化、発展するために、どのような形が最適なのかを試行錯誤しながら取り組んでいる。(今回の退団についても)チームを良くするためのチーム編成だと前向きに捉えています」
補強ポイントとして、坂下総監督は2㍍越えのチャールズ・マシューが抜けたLO、そしてWTBを挙げた。
「スクラムやラインアウトなどFWの強さを出せないと、このリーグでは戦えないと思っています。BKでも得点の取れるフィニッシャーを補強したい。今季を振り返ると、得点パターンが少なかった。ディフェンスの強化もしないといけません」
再び寒い時期でのチーム強化、そしてリーグの開催が予定されているが、環境面の整備は進んでいる。選手が所属する各企業の配慮によって、温かい日中にトレーニングをおこなうことができているのだ。
試合運営でいえば、釜石は寒さと雪の影響を考慮して、鵜住居復興スタジアムでのホストゲームを3月以降に5試合開催できた。観客動員数は平均943人と、目標の2000人からは遠ざかったが、ファンクラブの会員数は伸びていると桜庭GMは言う。前年比で20㌫ほど増加し、現在は約2300人が入会しているそうだ。
「県外の方(の入会数)が伸びたのが顕著でした。逆に、釜石市民や岩手県の方々とはコロナの影響でなかなか接点を増やせなかった。今後は地域の方々と一緒に何かに取り組んだり、行事に参加したりと、より身近な存在でありたい。それがファンクラブの増加につながり、集客にもつながると考えています」
リーグワン加盟チームで唯一、東北に居を構える。
小野主将もそのことを強く意識する。
「このチームがここ(釜石)にある理由がシーウェイブスにとってすごく大事なこと。岩手で戦って東北を元気にしたい。このベースをしっかりと新しく来る選手にも伝えていきたい」