【ラグリパWest】学校創立100周年、ラグビー部も呼応。宮崎県立高鍋高校
寮を自前で作るのは強豪化の道筋である。選手を呼び込め、保護者には安心感を与える。土井崇司、竹田寛行、吉岡肇…。全国優勝や準優勝を経験している将はそうした。土井は東海大仰星、竹田は御所実、吉岡は國學院栃木を0からこの国有数に仕立て上げる。
檜室はこの7月で48歳になる。ここで競技を始め、福岡大からその大学院に進む。センターなどをこなした。東福岡を率いる藤田雄一郎は大学の2学年上になる。大学ではヘッドコーチも経験した。教員としてUターンし、延岡工などで教べんをとる。母校に戻って9年目に入った。
高鍋の創部は1948年(昭和23)。花園へは11年連続で出場中。これは県記録である。昨年度の101回大会では、磐城を45−0で退け、2回戦で尾道に3−28で敗北した。
最高位は4強進出。61回大会(1981年度)で大阪工大高(現・常翔学園)に6−12で敗れた。その大阪工大高は決勝で秋田工を13−4で降す。この4回目出場がもっとも全国制覇に近かった。スクラムハーフは同志社や三洋電機(現パナソニック)でプレーした児玉耕樹(こうき)。その同級生は今井美樹。歌手や女優として知られている。
日本代表のキャップホルダーは3人。スクラムハーフの小西義光、センターの金谷福身(かなや・ふくみ)、ウイングの長友泰憲である。キャップ数は順に23、12、9。長友はサントリー(現・東京SG)に所属。2019年、現役を引退した。県ラグビー協会の理事長、石田喜克もOBである。
今年のチームは3月にあった23回目の全国選抜大会に5年連続7回目の出場を果たす。初戦で中部大春日丘に5−68と差をつけられた。続く県総体(春の大会)の初戦は5月31日。合同チームと対戦する。10チーム参加のため、3つ勝てば優勝する。年明けの新人戦はコロナで中止。推薦で九州大会に出場し、選抜を決めた。その経緯もあって、県内でしっかりその力を示したい。
今年の練習はタックル中心だ。檜室は言う。
「ガチンコを多くしました」
10対10などではボールの争奪の部分の強化に励む。中津留は自信をのぞかせる。
「ディフェンスの力は上がっています。チームの調子はいいです」
そのジャージーは緑と白、さらに細いオレンジが入る3色の段柄だ。緑は松、オレンジは太陽を示す。ただ、このジャージーを着られるのは全国大会に出た時だけ。檜室は自らの現役時代を振り返る。
「私の3年間、県代表は都城でした。花園に出られませんでした。だからアルバムの記念撮影用で着ただけです」
普段の試合では緑×白の段柄を着用する。
12年連続でこの明るいオレンジの入ったジャージーを着て、花園で躍動したい。それは学校にとって100周年の引き出ものになることは間違いない。