コラム 2022.03.01
【ラグリパWest】フルタイム2年目。羽根田智也 [龍谷大コーチ]

【ラグリパWest】フルタイム2年目。羽根田智也 [龍谷大コーチ]

[ 鎮 勝也 ]
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 ワールドでは1994年、神戸製鋼の公式戦連勝記録を71で止める。スコアは25−24。その翌年、日本代表に召集され、2月11日のトンガ戦に出場。名古屋・瑞穂でのテストマッチは16−47だった。2008年に現役引退。その翌年、チームは廃部になった。勤務は続ける中、母校から声がかかる。

 羽根田に新4年生の主将、片山諒汰は親しみを感じている。
「話しかけやすい雰囲気です。去年は様子を見ている感じやね、と話していました」
 学生たちを尊重する。年齢やジャパンをかさに着ない。ただ、視線は外さない。
「移動を早く」
 言葉は短く、的確だ。このチームに合ったやり方を知っている。

 4月の開講までは二部練の予定だ。グラウンドで2時間ほど、ウエイトルームでは1時間以上。これも学生たちが決め、羽根田が了承した。自分たちで決めたことだから前向きに取り組む。よい伝統が顔をのぞかす。

 2年目の目標を羽根田は挙げる。
「Bリーグで優勝して、Aに昇格することです。リューダイの歴史の中で昇格は自分たちの時の1回だけ。あんな喜びはありません。それを学生たちにも味わってもらいたい」

 龍谷は羽根田が4年生の1990年から18年間、Aだった。すべて1回戦負けも大学選手権には7回の出場実績がある。入替戦はこれまで、コロナで試合そのものがなくなった2020年を除き、7年連続で出場している。Aに復帰すれば、大学側の支援も「強化」から「重点」と最上に戻る可能性が高い。

 1年生は15人ほどの入部が見込まれている。常翔学園、大阪桐蔭など強豪校の名前が上がる。関西の私大では関関同立に続く、産近甲龍(さんきんこうりゅう)。京都産業、近畿、甲南とともに一角を占め、人気はある。

 新入生の来着と同時に春が訪れる。日々の練習があるのは、東山の峰の南東、南大日(みなみだいにち)のグラウンドである。冬枯れは終わり、辺り一面は生命の息吹に包まれる。人工芝と相まってそれらの緑は美しい。その自然界の流れに沿うように、羽根田は赤いジャージーにもう一度、力を吹き込んでいく。

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