コラム 2022.02.25
【ラグリパWest】2人目の慶應ボーイ。杉山雅咲 [大阪桐蔭/SH]

【ラグリパWest】2人目の慶應ボーイ。杉山雅咲 [大阪桐蔭/SH]

[ 鎮 勝也 ]



「長兄は目標です。試合中、すごくしゃべります。グラウンドの外からでも聞こえます。リーダシップがあって、格好いいです」
 慶應を受験するかどうかで悩んでいる時も背中を押してくれた。
「いいと思うで。チャレンジしてみ」
 長兄は筑波大を卒業している。

 プレースタイルはやはり似る。杉山は自身の特徴を170センチ、75キロの体を使った「仕掛け」と話すが、長兄もスペースに対して走り込み、ラックサイドを速さで崩す。

 2人を見た綾部は比較を口にする
「よく似てはいるけど、マサキの方がわずかに芯が強い気がします。優平はキャプテンでチーム優先にしたところがあり、自分に手が回らない状況でした。それもあるでしょう」
 保健・体育の教員でもあるだけに、兄弟で優劣をつけることは教育者として好まない。

 綾部は杉山に愛がある。
「マサキは練習を黙々とやります。そんな時でもたまに冗談を言います。それがおもしろい。そのギャップを見ていると、みんな好きになりますね、マサキのことを」

 集中を緩めるのは漫画だ。戦いのシーンが人気の『NARUTO−ナルト—』などを好む。
「個性のあるキャラが多いです。高校と一緒? そうですね。元気をもらっています」
 愛読書は70巻以上あるので、多すぎて寮には持ち込めない。残念である。

 杉山家は4兄弟。姉、優平、そして次兄の郁泉(いくみ)と続く。次兄は日本航空石川から専大に進んだ。この春、就職する。男3人はみなスクラムハーフだ。

 杉山の最後の全国、101回大会は3回戦で敗退した。元日、京都成章に8−15だった。
「悔しい気持ちはありますが、純粋に楽しかった。最高の仲間と試合ができました」

 山田莞大(かんた)は控えのスクラムハーフ。同時に試合に出ることはなかった。
「練習や試合が終わったら、こうした方がええで、と言い合いました」
 普通、同じ位置の人間とは話さない。
「ライバルだけど、仲間です。カンタのおかげで切磋琢磨できました」
 山田は東海大に進む。

 杉山は生駒山中での3年間を振り返る。緑や黄や赤など木々に季節ごとに彩られた。
「大阪桐蔭に入って、ほんまによかったです。先生方も距離が近くて、なんでも話ができました。楽しい雰囲気でした」

 慶應の新人集合日は今月26日。月が変われば本格的にチームに合流する。
「僕は生まれてからずっと大阪でした。でも標準語にはすぐに対応できると思います」
 口は半月に開き、目じりは下がる。前途洋々の春はすぐそこまで来ている。

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