国内 2022.02.03

オフシーズンも毎日のように。たゆまぬ努力で公式戦初出場。本郷泰司(シャイニングアークス東京ベイ浦安)

[ 多羅正崇 ]
オフシーズンも毎日のように。たゆまぬ努力で公式戦初出場。本郷泰司(シャイニングアークス東京ベイ浦安)
先発したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦でのプレー。12番を背負った。(撮影/髙塩隆)



 たゆまぬ努力がひとつ実った。

 NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安で3年目に入るCTB本郷泰司。

 京都成章高−帝京大と歩んだ滋賀県出身の24歳は、2020年度のルーキー・シーズン、トップリーグ2021に出場することができなかった。

「昨年1試合も試合に出ることができず、本当に悔しい思いをしたので、『今年こそは』と思い誰よりもオフシーズンにトレーニングをしました」

 オフシーズンは会社員としての業務もあるが、業務前、業務後、毎日のようにグラウンドに通った。

「オフシーズンは業務がありますが、業務前に西橋さん(勇人/SH)と松尾さん(将太郎/SO)の3人で、パスやキックのスキルの練習をして、業務後には竹内(柊平/PR)と藤村(琉士/HO)と3人で走り込みとウエイト、ボクシングトレーニングをしました」

 もともと“超”のつく負けず嫌いだ。

 滋賀・瀬田北中時代、「負けたくない」の一心から練習前の中距離走で約2年半も1位を切り続けた。率先垂範型のリーダーは各世代で主将を任され、帝京大では同期の全部員から推されて主将になった。

 しかし主将だった2019年度の帝京大は、大学選手権の3回戦で流通経済大学に敗戦。本郷はケガで欠場。相手WTBイノケ・ブルアが躍動する姿を眺めなければならなかった。

 シャイニングアークス東京ベイ浦安を「優勝できるチーム」と断言し、日本代表入りを目標に掲げる熱血漢だからこそ、2021年のシーズン不出場は堪えた。

 固い決意をもって臨んだNTTリーグワン2022のプレシーズン。本郷は練習試合の初戦から先発を続け、ゲーム主将も任された。

「プレシーズンに練習よりハードなことをしていたので、スキルや体力、ウエイトの数値は昨年より格段に上がりました」

 得意の鋭いタックル、接点での推進力に磨きが掛かっていた。

 迎えたNTTリーグワン2022の開幕戦は、1月8日土曜日のコベルコ神戸スティーラーズ戦。本郷は見事にリザーブ入り。チームは24−23で劇的なリーグ初勝利を収めたが、しかし本郷の出場はなくチーム初キャップはなかった。

 初出場の叶わなかった神戸戦の翌日、本郷は東京・国立競技場に足を運んだ。

 母校・帝京大学の大事な試合があった。

 2022年1月9日、大学選手権ファイナル。かつて主将として袖を通していた深紅のジャージーが、紫紺のジャージーを守備で圧倒していた。前半を20−0で折り返し、後半はスクラムから主導権を握り、27−14で4年ぶりの大学日本一を飾った。

 2季前の主将は、観客席で決意を新たにした。

「自分もみんなに負けずに頑張ろう、と強く思いました」

 後輩たちの快挙を見届けた、その6日後だった。

 本郷にとっての公式戦初出場、初先発試合がやってきた。1月15日のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で12番を背負い、13番の新主将シェーン・ゲイツとセンターコンビを組んだ。9−19で惜敗したが、80分間ハードワークして決定的なラインブレイクを許さなかった。たゆまぬ努力がひとつ実った。

 第3節から2試合はコロナ禍の影響で中止となったが、本郷は2試合ともスタメンに入った。努力がふたつ、みっつと実を結び始めている。

 目標は胸を張って公言する。チームの初の4強入りに貢献したい。そして、日本代表になりたい。目標までまっすぐに、堂々と歩み続ける。

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