タフな環境求め外人部隊へ。フランス代表、シックスネーションズへの準備で新しいアプローチ

　1月24日、フランス代表はシックスネーションズ開幕に向けて準備合宿を始めた。
　現体制になってからは気候の良い南仏のニースで実施されてきたが、今回は同じ南仏でもマルセイユから30㌔ほどのところにある外人部隊（外国籍の下士官および一般兵で構成）でおこなわれている。

　さらに厳しいトレーニングを模索していたファビアン・ガルティエHCは、昨年10月にこの部隊の連隊長と出会い、過酷なミッションに立ち向かえるよう厳しい訓練をおこなっている外人部隊の方針に共鳴し、後日駐屯地を訪れ、施設と外人部隊の精神に感銘を受け、「選手にも経験させたい」とこの特別な場所での合宿を選んだ。

「変化が必要だった。2年続けてラグビー面と生活環境を優先してニースで行ってきたが、より厳しいタフな環境を探していた。」と言うのは、ロラン・ラビットBKコーチだ。

　初日、チームバスが駐屯地に着くと戦車が出迎えてくれエスコートしてくれた。歓迎式典でも整列した兵士たちの一糸乱れぬ動きに「この合宿のトーンを感じた。」と言うのはFLディラン・クルタンだ。「ここにはマルクッシの合宿所のような快適さはないが、厳しい環境で強くなることが目的なのだろう。」とコーチたちの意図を読み取った。

　といっても、兵士と一緒にコマンド訓練をするわけではない。朝早くホテルを出てバスで駐屯地に到着後、ラグビーの練習が始まる前や、その後の休憩時間に兵士の日常を見学する。チームルーム、マッサージルーム、ウェイトルームが基地内に設けられ、グラウンドも駐屯地の敷地内にあり、1日を駐屯地で過ごす。
140以上の国からやって来て、信義と忠誠心をもってフランスに尽くす志願兵たちの日常にどっぷり浸かっているのだ。

　代表チームを受け入れるにあたって、アンリ・レイネクジェルルコック連隊長は次のように述べた。「我々の役目は代表チームに刺激を与えること。例えば、テクニックやフィジカル面で準備ができれば、あとは精神力がグラウンドで勝敗を決する。我々外人部隊にとっても同じこと。疲労が溜まって苦しい状況や予期していなかった状況でも、戦意を失わず適切に動き、任務を全うする精神力を感じてもらいたい。」

「また多くの時間を共有し、お互いによく知り、認め合い、全員で努力して困難な状況を克服することでグループに帰属していることに誇りを持ち、真の団結が生まれるということも見てもらえるだろう。」

「この２つの世界には多くの共通点がある。チームスピリット、勝つ意欲、自己のコントロール、敵へのリスペクト、勇気、ディシプリン、団結、極限のコミット、ミッションへの忠誠など。そして我々の共通のミッションはフランスのために勝つ準備を整えておくことだ。」と連隊長は締めくくった。

　ラビットBKコーチは、「とても良い合宿ができている。選手は休憩時間に兵士に話を聞きに行っている。団結、コミット、戦い、戦術の重要さなど似ているところが多い。ただ兵士には時には悲劇的な結末もあり、昨日はマリで亡くなった兵士のための追悼式典がおこなわれていた。この式典を目の前で見たこともチームの今後の糧になるだろう」と合宿の効果に期待しながら、「我々の目標は大会で優勝すること、そして世界ランキング3位に入ることだが、まだ優勝できていないし3位にも入っていない。チームの成長には優勝が必要なのだ。」と訴えた。

　2年続けて2位で終わったシックスネーションズ。今年こそフランス優勝なるか。