フランス『トップ14』、ふたたびのコロナ禍に落胆と不安。
無観客試合が続いた昨シーズンのあとだったから、今季の開幕戦、満員のサポーターの熱気で盛り上がるスタンドを見て胸が熱くなった。
トゥールーズは今季開幕からホームでの試合は、全6試合がチケット完売だった。
ラ・ロシェルも無観客や入場制限期間を除き、2016年1月2日からのトップ14のホーム試合の連続満員御礼記録を61と更新していた。ボルドーはトゥールーズを迎えた試合で33000席を完売した。
スタッド・ド・フランスでは約8万人の観客が、フランス代表がNZに勝利する歴史的瞬間に立ち会った。
どのスタジアムも本来の活気を取り戻していた。
しかし、あの厄介なヤツが帰ってきた。
イギリスでの急速な感染拡大を受け、12月18日からフランス−イギリス間の渡航が制限された。
これにより、欧州チャンピオンズカップの第2節の試合のうち、フランスのクラブとイギリスのクラブ間で予定されていた5試合が延期された。
その後、フランス国内での感染件数も急増し、クリスマスの翌日に予定されていたトップ14の5チームで感染が確認され、7試合中4試合が延期された。
中でも、スタッド・フランセはこの日トゥールーズへ移動中、パリの空港で延期の知らせを受けたという。
また、この日は『ボクシングデー』と銘打って、各スタジアムで多くのイベントが予定されていた。
ホストであったトゥールーズも、ホームスタジアムのエルネスト・ワロンよりも大きな、3万人規模のスタジアムに会場を移していた。
3万人分の食事や飲み物、試合前のコンサート、ハーフタイムの各チームのマスコットによるラグビーの試合、試合後の花火など、全て準備が整った状態だったという。
リーグ運営団体のLNRが新たな感染拡大防止対策ガイドラインを発表したのは、その3日後だった。
再び、選手・スタッフ全員にPCR検査を週の初めと試合の2日前に(ワクチン未接種者は毎日)おこなうことになった。
また、試合開催の判断基準を「プロ選手15人、フロントロー6人を含む23人の選手がいること」とした。
昨季の「陽性反応者3人未満」と比べればかなり緩い。スケジュールがすでに過密で新たな日程を見つけることが難しく、極力延期を避けたいのだろう。
トゥールーズのユーゴ・モラHCが、「試合が延期になる前に導入できたはずだ。パンデミックはまだ終わっていないのに、もう何事もないかのように動いていた。スタジアムには人が溢れていた。選手に関するガイドラインも無くなっていた。1年半も感染対策をしてきたというのに、何を学習してきたのか。我々は我々にできること、つまりクラブ内の感染対策を今まで通り続けていく。3回目のワクチン接種も完了している」とLNRの対応の遅れを批判している。
ちなみに、LNRでは、パンデミックの初期からリーグの感染対策に取り組んできたポール・ゴズ会長が任期満了のため昨年3月で退任し、新たにルネ・ブスカテル氏が着任している。
一方、1月3日から施設の収容規模に関わらず、屋外は5000人、屋内は2000人に観客数を制限されている。
先週末は屋内競技場であるパリ・ラ・デファンス・アリーナでのラシン92対クレルモンは、スポンサーと年間シートを購入しているファンの2000人に制限された観客の前で行われた。
イベントの人数制限は当面は3週間と発表されており、現在、政府で施設の収容規模に合わせて上限を設定できるよう見直しが検討されている。しかし、すべては今後の感染状況次第だ。
2月7日にはシックスネーションズが開幕する。
今年は3試合フランスでおこなわれ、そのうちアイルランド戦とイングランド戦は、昨年11月の時点でチケット完売になっており、フランス協会も気が気ではない。