国内 2021.11.29

中村誠監督一門の3校が結集し、花園へ向け切磋琢磨。國學院久我山×國學院栃木×昌平

[ 直江光信 ]
中村誠監督一門の3校が結集し、花園へ向け切磋琢磨。國學院久我山×國學院栃木×昌平
白熱した好ゲームとなった久我山-栃木戦。17-0で栃木が制した(写真提供/國學院栃木高校ラグビー部)


 恩師にとっては何よりの喜びだろう。教え子たちにすれば念願の孝行であると同時に、ひと月後に迫った晴れ舞台に向け士気を高める絶好の機会となったはずだ。

 11月28日。今冬の花園出場を決めた國學院栃木(栃木)、昌平(埼玉)、國學院久我山(東京)の3校が國學院栃木のグラウンドに集結し、トレーニングマッチを行なった。

 久我山と栃木は國學院系列の兄弟校で、久我山の土屋謙太郎監督と栃木の吉岡肇監督は、第59回の花園で準優勝を果たした久我山の同期生。当時の久我山の監督で同校を全国有数の強豪に育て上げた中村誠先生は、2010年から昌平の総監督を務めている。また昌平の御代田誠監督は國學院栃木ラグビー部の設立当初のメンバーで、2007年までは吉岡監督のもとでコーチとして母校を支えた。
 いわば久我山ファミリーの息子と孫が、育ての親の前に勢ぞろいしたわけだ。

 この3校は昌平が初出場を遂げた4年前の97回大会でも花園そろい踏みを果たしているが、その時は大会前の手合わせは叶わなかった。今回は栃木と久我山がシード校に選出されたこともあって、「中村先生の前で集まろう」と3校そろっての壮行試合が実現。ホスト役を担った栃木・吉岡監督は、「先生との出会いによって今の自分たちがある。その恩師の前で、母校の同級生でもある土屋監督、教え子の御代田監督と花園に向けて練習試合ができて本当に幸せです」と喜びを口にする。

 このハレの日を祝福するように当日は好天にも恵まれ、試合はいずれも白熱した内容に。注目の栃木-久我山戦は、50分(25分ハーフ)で17-0と栃木に軍配が上がった。幸い大きなケガもなく、この時期に緊張感あるゲームをこなせたことは、3チームそれぞれにとって本番を見据える上での貴重な経験になるだろう。

 前日の夜には中村総監督、吉岡監督、御代田監督に國學院栃木の加納秀久メディカルトレーナー、國學院栃木OBで現在は白鷗大ラグビー部を率いる古庄史和監督が加わっての懇親会も設けられ、試合当日も各校のスタッフとして多くの久我山OB、栃木OBがグラウンドに駆けつけた。
 そんな夢のような時間に、中村総監督が「懇親会に試合と、これほど楽しいことはありません。こんなに楽しいことがあるんだから、まだまだ生きていたい」と笑えば、久我山・土屋監督は「こうした環境で仲間や人に恵まれ、ラグビーに関わることができて本当にありがたいですね」としみじみ。昌平・御代田監督も、「吉岡先生との出会いが縁で中村先生の門下生になれたことは大変幸せです。昌平も少しずつですが力をつけてきていますので、久我山、栃木を目標にがんばります」と感謝の思いを口にする。

 ちなみに4年前は2回戦で久我山と栃木の花園での初の兄弟対決が実現し、兄貴分の久我山が48-14で勝利を収めた。今回は両校ともシードに選出されただけに、「勝ち進んで上で当たりたいですね。そしてウチは前回負けているんで、1勝1敗のイーブンにしたい」と吉岡監督は意気込みを語る。

 恩師への感謝の思いを表すとともに、一門の絆を再確認する機会となった今回の壮行試合。いい一日だった。

左から御代田監督(昌平)、吉岡監督(國學院栃木)、中村総監督(昌平)、土屋監督(國學院久我山)、古庄監督(白鷗大)(写真提供/國學院栃木高校ラグビー部)
試合後の久我山のメンバー。スケールの大きいチームだけに、花園でも楽しみな存在だ(写真提供/國學院栃木高校ラグビー部)

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