日本代表 2021.09.29

大きな身体をもっと大きく。具智元、日本代表合宿初日に肉体改造宣言。

[ 向 風見也 ]
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大きな身体をもっと大きく。具智元、日本代表合宿初日に肉体改造宣言。
具智元。日本代表として15キャップを持つ。


 この国の支柱は、少し細くなっていたようだ。

 ラグビー日本代表の具智元は今年7月まで、約1年8か月ぶりの代表活動で2つのテストマッチ(代表戦)に出場。イングランドなど計4か国による連合軍のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ、アイルランド代表に2連敗したのを受け、かように振り返ったのだ。

「体重が軽くなっていて、コンタクトのところがうまくいかなかったと思っています」

 持久力は上がった。

 フィットネス系のメニューに注力してきた成果もあり、「ヨーヨーテスト」という測定の数値も更新し続けている。久々の代表戦でも「走れるところは走れた」という感触を得た。

 最前列の右PRとして、スクラムでも手応えをつかんだ。

 自身が日本代表入りする前から教える長谷川慎コーチの理論は、2019年のワールドカップ日本大会で8強入りを果たすまでにチーム内へ浸透している。

 さらに具によると、「練習が終わった後に、(最前列の)フロントロー同士で『クラウチ』と(合図を)言い合いながらバインドの練習(相手とつかみ合う姿勢の確認)を…。それが利いてきたと思います」。今年初めて選出されたメンバーが、意欲的にチームの形を身体化。かくして、熟練者と新参者が知見を共有できた。

 順調に歩みを進める集団にあって、しかし、通称「ぐーくん」は現状に甘んじない。先のツアーで列強の猛者と身体を当てたことで、もっと強くならねばと感じたようなのだ。

 いまの重さは、「身長183センチ、体重118キロ」という公式サイズを下回って「115から6」を行ったり来たりだ。

 スキンフォールドと呼ばれる体脂肪の測定では「前のワールドカップではちょっと多くて『130』でしたけど、いまは『96』」と余分なものは削っている。それだけに、あとは筋肉の鎧を分厚くしたい。

「体重が落ちている状態なので、それを戻しながら(スキンフォールド)もキープしたい」

 話をしたのは9月29日。ホンダヒート(現 三重ホンダヒート)から今季移籍したコベルコ神戸スティーラーズでトレーニングを重ね、この日からは宮崎での日本代表合宿に参加する。

 今秋は4つのテストマッチを実施予定。実直さで鳴らす具も活躍が期待される。

 ストイックな身体作りについては「(好物の)ラーメンは結構、がまんしてます。この前、山本幸輝(新加入チームの左PRで元日本代表)さんと(食べに)行っちゃったんですけど…」とも笑う。さらに続けた。

「宮崎合宿では、けがをしないことが一番です」

 体重を減らしてしまった一因にも、けがによる一時離脱があったと見ているのだ。

 前回の遠征では、別府での練習中に故障で戦列を離れた。国内での強化試合をスキップし、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦にはぶっつけ本番で挑んだ。

 だから以後は、かようなトラブルは未然に防ぎたい。その延長で、2大会連続出場を目指す2023年のワールドカップ・フランス大会で大暴れするのだ。

「(最近は)毎合宿、けががあって、試合の時に復帰するような感じが続いていた。まずはけがをしないいい身体を作って、ベストコンディションで試合ができたらいいと思います。ワールドカップまでの間も、けがせずずっと練習ができた状態で試合に出たらもっといいところを見せられる。まず、けがをしない。毎回、けがするところが違うので困っているんですけど、(予防のため)けがをした部分や体幹のトレーニングをしています」

 元韓国代表の左PRの東春氏を父に持ち、少年期はニュージーランドのウェリントン、日本の大分県でスクラムを組み込んできた27歳。拓大4年時にサンウルブズの一員として韓国人初のスーパーラグビープレーヤーとなり、日本国籍を持ついまは将来的な海外挑戦も視野に入れる。

 まずは10月23日、慣れ親しんだ地の昭和電工ドーム大分でオーストラリア代表と激突する。「けがをしないいい身体」で。

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