【ラグリパWest】6回目の関西大学春季トーナメントを振り返って。
同志社は昨年、天理に21−54と敗れ、関西2位になった。その後、コロナの部内クラスターが発生。12月13日、帝京と対戦予定だった大学選手権は辞退した。
その後、部内予防を徹底。密になることを避けながら、練習は2時間以内、2グループ以上に分かれる、という大学の要請を守る。その上で、月に1回、無作為で選んだ部員30人にPCR検査を実施している。
伊藤はこの5か月間の練習を振り返る。
「走り込みはより実戦的になりました」
2時間の半分はランニングメニューだが、漫然と100メートルを走るのではなく、寝て起きるインターバルを混ぜ込むなど、試合に似た状況を作った。
同志社は天理対策も施す。スクラムは劣勢になることを考え、ダイレクト・フッキングを採り入れる。HOがかいたボールが直接、最後尾のNO8に届く。スクラムは一瞬を耐えるだけで、ボールを出せる。
「スクラムのユニットでもやりましたし、練習が終わってからも合わせていました」
右PRの李優河(り・うは)は汗を滴らせた顔をゆるめた。スクラムで大きな差はなかったが、この早い球出しは他でも生きる。NO8梁本旺義の速いサイド攻撃に、天理の防御は一歩出遅れた。
天理は昨年の日本一メンバーから日本代表のCTBシオサイア・フィフィタ(近鉄)ら9人が抜けた。主将のHO佐藤康ら6人は残るも、この日はケガで大黒柱のLOアシペリ・モアラを欠いた。FWの突破役がいなかったことは響いた。
京産大は同日、関西学院を90−5と大差で破り、3位に入った。準決勝では20−21と1点差で同志社に敗れた。お家芸のスクラム、モールは今年も強く、SO家村健太のキックでエリアも取れる。勝ち方を持っている。
近大は2回戦で天理に22−27と敗れるも、左PR紙森陽太を軸にしたスクラムは強い。最後の組み合いでコラプシングを誘ったように見えたが、レフリーは流した。これが認定トライになれば、結果は逆転していた。
春シーズンを見た限りでは、秋のリーグ戦は同志社、天理、京産大、近大の4チームが軸になる公算が高い。
なお、この春季大会の成績は従来、秋のリーグ戦の対戦カードに反映していた。1位は最下位8位と当たるなど、シーズンへの入りやすさをボーナスとしていた。ただ、今回は立命館でコロナが発生したため、この制度は使われず、昨秋の成績が参考に組まれる。
同志社は関大と関西リーグ6連覇を狙う天理は近大とそれぞれ初戦で顔を合わせる。近大は昨年、コロナの影響で順位決定戦を辞退しており、8位扱いになっていた。今年は初秋から、熱い戦いが見られそうだ。