海外 2021.06.30

伝統の一戦を控えるオックスフォード大学。「すべてをやり切った、と話せるように今を過ごそう」

[ 奥村直大 ]
伝統の一戦を控えるオックスフォード大学。「すべてをやり切った、と話せるように今を過ごそう」
決戦に向けて気持ちを高める男子チーム。(撮影/奥村直大)
女子チームのハドル。こちらも気合十分。(撮影/奥村直大)


 日本のラグビーファンの関心が欧州に向いている。
 日本代表が6月26日にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズと戦い、7月3日にはアイルランド戦を控えるためだ。

 では、7月4日にイングランドで伝統の一戦がおこなわれることはご存じだろうか。オックスフォード大学とケンブリッジ大学の間で行われる ヴァーシティーマッチである。

 従来の開催時期は12月だ。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて2020年のヴァーシティーマッチは延期となっていた。
 試合会場も例年のロンドン、トゥイッケナムスタジアムから変更された。両校の中間地点で感染リスクの低い都市であるレスター、ウェルフォードスタジアムで実施される。

 この記事では、オックスフォード大学ラグビー部の平日練習の様子をお伝えする。
 6月2日だった。
 オックスフォード市の中心部からラグビー部のグラウンドまではバスで15分ほど。多くの選手たちは そこへ自転車で来ていた。

 先に女子チーム、それから男子チームの順で練習が行われる。
 女子チームの選手が集まり始めていた。グラウンドの両サイドには屋根付きのスタンド、更衣室、照明、クラブハウスなど一通りの設備が揃っている。

 練習メニューは、基礎スキルの練習やフィットネストレーニング、それから試合形式の練習と進んでいった。コーチがそれぞれ熱心にジェスチャーを交えながら細部まで説明し、選手らも真剣な表情でそれに応える。
 一人一人の喋る尺は日本よりも長く、トーンはより冷静な印象を受 けた。特に主将がコーチと練習後もチームについてじっくり対話をしている姿が印象的だった。

 女子チームの練習の終盤に、興味深いメニューがあった。ウォームアップを一通り終えた男子チームとの「タッチラグビー」がおこなわれた。
 伝統的におこなわれているメニューで、どちらも本気で挑む。終了後には互いに拍手でエールを送り合っており、部の結束を垣間見た瞬間だった。

 それが終われば、男子チームの練習が本格的に始まる。男女ともに参加年齢に制限がない「オープンエイジ制度」を採用していることから、まるで社会人クラブに来たような錯覚すら感じた。複数のリーダー陣がメニュー間のフィードバックに厚みを持たせている場面も多くあった。

 女子チームフィオナ・ケネディ主将は、ヴァーシティーマッチについてこう述べた。
「オックスフォードを代表する、非常に貴重な権利を得られる時間です。ヴァーシティーマッチでは、どれだけ『困難に挑むこと』ができるかが肝心になってきます」

 男子チームのジョージ・メッサム主将は、「今から5年後10年後再会したときに、『当時はすべてをやり切った』と話せるように今を過ごそうと常々伝えています。ヴァーシティマッチの80分間にそれを体現します」と力強く締め括った。

◆生配信(有料)はこちらから。
https://thevarsitymatches.com/stream-pass/
試合日◎7月4日(日)
キックオフ予定時間◎女子=日本時間21:00(現地時間13:00)、男子=日本時間23:30(現地時間15:30)

PICK UP