難病と闘う仲間へ。ラガーマンの絆が生んだエール
ラガーマンの絆でエールを送った。
難病と闘う大分舞鶴高−同志社大でプレーした福井隆彦さんを応援しようと、同世代のラガーマン達が資金を募り、応援大漁旗「フライキ」を制作。6月、大分舞鶴出身の仲間が贈り届けた。
昭和41年生まれの福井さんは、大分舞鶴時代にSOとして花園準優勝を経験。松任谷由実さんが名曲「ノーサイド」のモチーフにしたと云われる天理高との名勝負だ。
大分で会社経営をしている福井さんは2020年ごろ、突然原因不明の痛み等に襲われ、複数の医療機関を受診。難病と診断された。2021年3月より本格的な治療が始まり、月の半分を病院で過ごすことになった。
なんとかして、難病と闘う仲間を激励できないか。
大分舞鶴の花園準優勝メンバーで、京都産業大でもプレーした昭和40年生まれの森迫政信さんは「終わりの見えない病との闘いに精神的にも辛い状況。エールを贈りたい」と考え、同じ昭和40年生まれのラガーマンに連絡を取った。
それが昭和40年度のラガーマンによる全国規模の同期会「昭和40年会」を立ち上げ、東北を支援する一般社団法人「フライキプロジェクト」の代表理事を務める本郷高−法大の園部浩誉さんだった。
「『昭和40年会』で大分舞鶴出身の同期から電話をもらって、1学年下の福井隆彦君が難病にかかって苦しんでいるから、フライキ(応援大漁旗)を作ってくれないか、と依頼がありました」
フライキは東北の南三陸における大漁旗の通称。園部さんが代表を務めるフライキプロジェクトが作るフライキは、2019年ワールドカップ日本大会でも岩手・釜石で開催されたウルグアイ×フィジーの観客席も彩った。
「すぐに昭和40年度生まれの同期会である『40年会』のSNSを通じて、全国にいる同期から賛同者を募りました。あっという間に40名を超える同期、41年会、その周辺の先輩後輩から賛同を頂いて、その資金でフライキを作りました。フライキに刻む文字は、大分舞鶴高校の校是でもある『しまれ、がんばれ、ねばれ、おしきれ』にして、賛同者の名前を刻みました」(園部さん)
「40年会」や「41年会」だけでなく周辺にも支援の輪が広がり、エールとしての大漁旗が生まれた。
制作された大漁旗は、福井さんの元に直接届けられた。プレゼンターは、ハーフ団として花園準優勝を達成した1学年上の元SH井原正文さんと、同級生の秦敏男さんだった。
フライキを受け取った福井さんは、関係者に感謝のメッセージを寄せた。
「舞鶴の先輩である井原さんと、同級生の秦から、フライキをいただきました。本当にありがとうございます。妻と二人で感激していると同時に、先輩方にどうお礼をしていいのか途方に暮れているところです。少しでも良くなって、先輩方に御恩返しをしたいと思います」
ラガーマン同士の絆から生まれたエールは、福井さんの心に届けられた。