【コラム】終われる幸せ
「本当はオフフィールドでの楽しいことをもっとしたいけれど、いまはコロナのせいで厳しいことばかりしている状態。そのバランスを、できるだけ早く整えてあげたいです」
忍耐が実るとは限らない。日野に陽性反応者が出て、第7節の8試合中1試合が中止となったのは4月4日。リコーではプレーオフ2回戦突破後に陽性反応者が相次ぎ、準々決勝を辞退した。
2018年度12位のキヤノンでベスト8入りした沢木敬介監督は、年末年始に活動を休まざるを得なくなっていた。
活動を再開させ連勝街道に乗るさなか、現況と向き合う態度についてこう言葉を選んだ。
「俺らも、別に外でどうのこうのと特別していたわけじゃないけど、それでもかかるのが、コロナじゃない? (以後は)皆、カフェに行くのも我慢するとか、より気を付けるようにはしていると思います。しっかり自粛して、我慢して、やれることをやって、それでもかかっちゃったら、しょうがないと潔く思える。なるのは悪じゃない。でも、誘惑に負けて、リスクある行動をしてかかっちゃったら、それはもう後悔しか残らない。1人の行動で試合ができなくなるかもしれないという思いがあれば、自然と行動は決まってくる。どこのチームも、そういう風にしていると思います」
5月23日、東京は秩父宮ラグビー場。北スタンド上部の電光掲示板には、幾多の情念の蓄積としての「サントリー 26—31 パナソニック」という試合記録が刻まれた。
複数の選手が発信する「大変な状況のなか試合を開催して下さり、感謝しています」との談話は、社交辞令と異なる色彩を放った。
サントリーは、キヤノンと同じく1月に陽性者を出していた。中村亮土主将はファイナリストとなってから、こう吐露していた。
「(1月に陽性者が出てから)もう1回、自分たちが陽性者にならない、濃厚接触者にならないと改めてのミーティングをして、決まりごとも厳しくした。それをチームのメンバーが受け入れてやっていたので——まだ優勝はしていないですが——報われてよかった」
もう、早く飲みに行きたい。皆でそう言い合っています。
かように漏らした青年が一定の制限から解放されているいま、多くの飲食店から酒類が消えている。
新リーグが始まる2022年1月までの間に、各所で納得感のあるオペレーションがなされるのを願う。