東福岡46-17東海大仰星。強みのコンタクト、後半に全開。因縁の「インジャリー18分・同点試合」対決を制す−選抜準決勝レビュー−
後半、東海大仰星の戦い方を見た東福岡は、原点にかえった。自らの土俵に相手を引きずり込むために、「わかっていても防げない」圧力を、相手に押し付けた。効果的なBKの仕掛けからフィールドの真ん中でクラッシュを起こす。ここで相手を大きく押し下げて、さらに向こう側にあるスペースでパス&ランのスキルを生かした。
仰星側は、横にスライドするような「流す」ディフェンスと、激しいコンタクトを両立させて前半を凌いだが、後半は、フィールド中央で圧力を受け、その横の流れを分断されてしまった。さらに遠くへボールを運ぶ東福岡は、タッチライン際に外から走り込むような角度とスピードで突破、こうしたシーンが相次いだ。
1分、9分、13分…とトライを重ねた東福岡が、後半だけで34得点を挙げて突き放した。
東海大仰星とは、前回花園(冬の全国高校大会)の準々決勝でも対戦するなど、過去何度も死闘を繰り広げてきたライバル関係にある。前回花園は同点のままゲームが切れず、後半なんと18分間におよぶインジャリータイムを戦い、互いへの尊敬を深めている仲だ。その花園では同点抽選となり、東福岡は準決勝出場を譲っている。
「あの試合では、接点でやられていた印象。花園の後はトレーニングで体重を増やしました」(東福岡FL大西一平)
自らのオリジナリティと、「同点試合」への思い。この日、東福岡のコンタクトが特に強烈だったのには、そんな背景もある。
「きょうは、久しぶりの決勝に向けた関門でした。なんとしてもそこまでは連れて行ってやりたかった。去年の対戦のこともある。力が入った試合でした」(藤田監督)
選抜では第17回大会に優勝して以来、5大会ぶりの決勝の舞台だ(この間に開催された3大会ではいずれも決勝に進むことができていない)。数年続いた準決勝の壁を抜けた東福岡は、精神的にも充実した状態でファイナルの舞台へ上がる。