国内 2021.03.30

新チームの初陣がセンバツとなった流経大柏は「ようやく火が付きました!」-選抜チームリポート-

[ 編集部 ]
新チームの初陣がセンバツとなった流経大柏は「ようやく火が付きました!」-選抜チームリポート-
流経大柏は共同主将体制。PR土屋英慈②がチームキャプテン、SO蓬田雄②がゲームキャプテンを務める(撮影:矢野寿明)

「ひっそりと(天理に勝つことを)狙ってはいたんですけどね…」

 流経大柏は2回戦で関西の強豪校、天理と激突。前半はリードして折り返したが、風下に回った後半に天理の逆襲に遭い、12-27で敗れた。

◆自らも積極的に切り込むSO蓬田雄共同主将②ら

 相亮太監督が脱帽したのはその1つ前の試合、桐蔭学園と京都成章の一戦。同じ関東勢の桐蔭学園は、2回戦で早くも実現した昨季の花園決勝対決を24-10で制した。
「自分たちとは違って桐蔭さんは勝負どころで勝ってくる。すごいなと」

 流経大柏と桐蔭学園は花園以降似たような境遇にいた。
 県の新人大会、関東新人大会が中止となり、新チームが発足してからセンバツまで試合を行うことができなかった。さらに流経大柏はウイルスの感染拡大状況を鑑みて、練習時間も90分程度に制限された。

 センバツ前に両者は一度だけ合同練習を実施。そのときは互いにミスが多かったから、そこからの桐蔭学園の修正力に相監督は「嘘ついてたんかな…」と苦笑する。
 一方の流経大柏は1回戦の大分東明戦から苦戦を強いられた。前半に広げた15点のリードをあわやひっくり返される状況まで持っていかれる。
「厳しいゲームになることは承知の上でしたが。後半1つのミスから流れを失った時に、またそれを引き戻す力がない。ゲーム勘としてないのかなという印象でした」

 ゲームキャプテンを務めるSO蓬田雄は今季、13番から1年生以来の10番に戻った。司令塔の感覚はようやく戻ってきたところだ。東明戦は「うまくエリアが取れずに厳しいゲーム」だったが、試合終了間際のピンチを救ったのは試合がない中で積み上げた練習での意識だった。
「試合をシミュレーションして、『what if』を大事にしてきた。何が起きても大丈夫なように、もしミスが起きてもチームでトークして修正できるような準備をしてきました」
 3点差まで詰め寄られた終了間際に、自陣ゴール前深くで形成されたモールを防いだ。「そこも想定してやれました」。

 モールを防げた要因はワーナー・ディアンズ(現東芝)の影響もあると相監督は分析する。
「最後は花園に出ていたFL中川(功己①)とFL加藤(アディナン)、LO深山(和輝)が勝負していた。彼らは去年何度もワーナーにゴール前で鍛えられてましたし、個人練習にも引っ張られてました」
 チームが強くなるために後輩を巻き込んだワーナーの功績は大きかった。

 相監督はこれまでの制限下を言い訳にはしない。「そういうところを言い訳にすると、また花園で負けてしまう」。だから天理にも勝つつもりで挑んだ。
 激しいコンタクト勝負を挑む天理に対して「体を当てるところはよく頑張ってくれた」と選手たちを称える。
「この肩の痛みをしっかり柏に持って帰りたい」

 約3か月ぶりの公式戦。強豪校との対戦。そして敗北。
「やっと火がつきました! 今年が始まったなと」
 相監督は目を輝かせながら熊谷ラグビー場をあとにした。

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