【ラグリパWest】100年に一人の男。 森田尚希 [近鉄ライナーズCTB/WTB]
森田兄弟は4連覇すべてに同じ背番号13をつけて貢献する。兄の3年時は81回大会。決勝で東福岡に50−17と大差をつける。
「アニキと一緒に関われたのはすごいこと。一生懸命にやった結果でうれしいですね」
兄は立命館からNECに入り、現役を引退。今は社業にいそしんでいる。
ナオキは世代の日本代表に選ばれる。高校とU19。同志社では1年から公式戦に出場した。ただ、トータルで見れば、ケガや首脳陣と意見の違いなどもあり、華々しくはない。
「リザーブで最後の5分くらい出ました」
そう話す4年時の大学選手権は東海に31−78と大差負けする。45回大会(2008年度)の2回戦だった。
1年の留年ののち、近鉄ホールディングスに総合職として入社する。鉄道やバス、百貨店、不動産など150近くの会社を統べる社長になる資格を持っている。
「木村さんがええおっちゃんでした。会社のええとこばかりを並べませんでした」
当時、ライナーズの採用をしていた木村雅裕の誠実さに惹かれる。木村は愛媛近鉄タクシーの社長に栄転。ナオキは社員選手として、大阪・上本町の本社で経理部に勤務する。
新年度で入社12年目。8月が来れば35歳になる。ベテランの域に入っても、176センチ、88キロの体は躍動する。そのスピードや素早いパスなどでCTBやWTBをこなし、紺エンジのジャージーを支えてきた。
ただ、現在は右腕を痛め、2月14日に開幕のトップチャレンジ参加に出遅れている。
「織機戦を目標にしています。1日でも早く復帰したいです」
ライナーズは豊田自動織機との1位決定戦を戦う。4月3日、滋賀の布引で開催される。
チームの真の目標はその先にある。
その2週間後に開幕するトップリーグ主体のトーナメントだ。リーグ再編のため、入替戦は消滅。そのため、力を示せるのは一部相手のこの勝ち抜き戦になってくる。
チームの目標はトップリーグチームを2つ倒しての8強進出だ。
「中途半端。日本一にならないと」
高校時代、勝ち続けた記憶がよみがえる。
ライナーズは1929年(昭和4)創部。優勝回数はトップリーグの前身である全国社会人大会8、日本選手権3。その名門の復活に向け、ナオキの意気込みは強い。