コラム 2021.03.26
【ラグリパWest】新人工芝グラウンドを突破口に。 浪速高校 [大阪府]

【ラグリパWest】新人工芝グラウンドを突破口に。 浪速高校 [大阪府]

[ 鎮 勝也 ]
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 学校は神道系の私立共学校。校内に「学院神社」がある。命名もそれにちなみ、新グラウンドは「乾坤一擲」(けんこんいってき)、それを含むスポーツキャンパスは「高天原」(たかまのはら)に決まった。

 乾坤一擲は<運命を賭して、乗るか反るかの勝負をすること>。高天原は<天つ神=あまつかみ=がいたという天上の国>。岩波書店の広辞苑にはそう書かれている。

 その学校創立は1923年(大正12)。100周年を間近に控える。関西のトップ私大、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)に毎年100人前後を送り込み、進学校化も進む。この4月の新入生は700人超の18クラス。ここにも学校の勢いは現れる。

 ラグビー部は鳥飼が赴任した2017年以来、力をつけてきている。啓光学園からは龍谷大に進み、日本新薬で会社員を3年経験した後、保健・体育教員として赴任した。

 昨秋、100回大会府予選は第三地区で4強に勝ち上がった。同志社香里に7−36。紺×水色×白ジャージーにとって、2度目の決勝進出は現実味を帯びる。

 ラグビー部から同志社大に入った者もいる。新2年生の楠本勝大(しょうだい)。192センチの大型LOは指定校推薦で入学した。唯一のOBトップリーガーだった高平拓弥が昨シーズンで引退。リコーのFBだった先輩をしのぐ成長が期待されている。

 新チームで臨んだ今年1月の近畿大会は初戦で関大北陽に5−57。勝者は決勝で東海大大阪仰星に0−106と大敗した。
「今年は今のところ力は落ちます」
 鳥飼は話す。3大会前は決勝に進出。仰星に0−74と敗北している。

 常翔学園との記念試合は0−115(前半0−54)。日本一へ至近距離にいる紺赤ジャージーに17トライを献上した。
「力の差を痛感しました」
 鳥飼は視線を伏せた。

「それでも、胸を貸してもらえたのは、ありがたかったです」
 常翔学園は選抜の初戦を5日後に控えながら、ベストメンバーでファーストジャージーを着用して、手を抜かなかった。その恩を忘れず、いずれラグビーで返したい。

 新チームの選手は30人(新3年=16、新2年=14)。新1年は経験者を中心に少なくとも14人の入部が決まっている。紅白戦はいつでもできる。人数は申し分ない。

 この人工芝グラウンドを突破口に、常翔学園との距離を縮めていきたい。

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