欧州6か国対抗戦逆転V狙うフランス ジャリベールはド・ゴール将軍の名言引用しチームを鼓舞
優勝への望みをつなぎたい大一番、ウェールズ戦のスターティングメンバーは前週と不動。「とてもパフォーマンスが良く、このチームの力とポテンシャルを感じた。そのポテンシャル、ノウハウ、才能をまだまだ最大限に引き出していかなければならない」とガルティエ ヘッドコーチ。「フィニッシャー」と呼ばれる控え選手には、コロナに感染して代表から外れていたPRウイニ・アトニオとCTBアルチュール・ヴァンサン、また負傷したLOシリル・カゾーに代わって、LO/FLスワン・レバジが入った。
イングランド戦の後、現地メディアでは選手交代について議論が繰り広げられた。明らかに疲労が見えていたFLシャルル・オリヴォン、SHアントワーヌ・デュポン、CTBヴィリミ・ヴァカタワを下げて、FLアントニー・ジュロン、SHバティスト・スラン、SO/CTBロマン・ンタマックを投入するべきだったというものだ。
特に疑問視されているのは、41キャップと経験もあり、ゲームマネジメントに長けているスランを今回もベンチで終わらせたことだ。これに対して、ガルティエ ヘッドコーチは「もちろん彼だけでなく、試合に出られなかった他の選手とも対話して気持ちも聞いているし、交代させなかった理由について説明もしている。例えばイングランド戦は120m/分でプレーしていたが、練習は140m/分というさらに速いテンポでおこなっていた。試合に出ていないメンバーもこのテンポでプレーできるようになっている。グループとしての経験値も積んでいるから、試合に出ればすぐに対応できる。グループ全体の成長を考えている」と答えた。
また、試合終盤のゲームコントロールについて、「(イングランド代表LOマロ・イトジェに逆転トライされた)試合終了4分前まで4点差でリードしていた。そこにたどり着くまで、どのシチュエーションで点差を開くことができたか、失点を避けることができたのかを見ることが大切」と答えた。
今回のレフリーのルーク・ピアースはウェールズ出身だが、「レフリングについては、ジェローム・ガルセスからもアドバイスを受けている。明日、リーダーの選手と一緒にルーク・ピアースとミーティングをする。レフリーを理解して、彼がゲームを組み立てやすくなるよう協力する。たとえ、彼がウェールズ生まれだとしても、いやむしろウェールズ生まれだから」とニヤリと笑いながら答えた。
先週のイングランド戦の後、フランスチームのロッカールームは悲しみに打ちひしがれていた。呆然とする選手、目に涙をためている選手、涙が止まらない選手。その中心で、ガルティエ ヘッドコーチは「我々はタイトルを獲得できる、ウェールズに勝てる!」と繰り返した。
ジャリベールは、「戦闘には負けたけど、戦争に負けたんじゃない」と、シャルル・ド・ゴール将軍の「フランスは戦闘に負けた。しかし戦争には負けてない」を引用した。1940年、フランスがナチスドイツ軍に占領されていた時期に、ド・ゴール将軍がロンドンからフランス国民に発信したメッセージの一文で、一つの戦闘に負けたからといって戦争に負けたことにはならない、まだ勝機はあるという意味で使われる。
彼らの信じる力をこれまでに何度も見せられてきた。残り2試合も熱い戦いが期待できそうだ。
なお、この会見の数時間後に、延期されていたフランス対スコットランド戦が現地時間3月26日におこなわれることが発表された。一方、フランス北部地域、ニースのあるアルプ・マリティム県、パリ周辺地域が3月20日から4週間のロックダウンに入ることも政府から発表された。