関西学院大の2020年。厳しいシーズンを過ごした主将・HO竹内海斗の奮闘。
日本一を目指したチームが大学選手権に進めなかった事実は、当然納得のいく結果ではなかっただろう。だが振り返れば、今季の関西学大は苦難の連続だった。
新型コロナウイルスの影響を受け、4月1日からチームは活動を停止。6月下旬に大学側から活動再開の許可が出るも、1時間で20人以下の活動は9月中旬まで続いた。
本格的な活動再開、つまり全体練習がおこなえたのは9月19日から。関西大学Aリーグではもっとも遅い全体練習の再開だった。11月7日の開幕に向けておこなった練習試合は、10月25日の関西大との1戦のみだ(〇26―24)。
シーズン序盤も竹内主将は苦労した。「日本一の壁を知れて、いい意味の距離がわかったけど、日が経つうちにチームのモチベーションは下がってしまった」。
そんなときはミーティングや個人面談を重ねて、原因を突き止めた。「幹部陣やコーチ陣になかなか意見を言えない感じがあったせいでモチベーションが上がっていないと感じました。そこから、うまいことコミュニケーションを取れるように、練習後に少人数トークをして、いまの悩み、課題を言える場を作った。それでチームがうまく動くようになった」。
チームとしてひとつの山を越えた矢先に、新型コロナウイルスによる自粛期間が訪れた。それでも巽中、天理高とキャプテンを務めた竹内主将は逃げなかった。
「全部が全部できないのは分かっていたので、自分たちにフォーカスしてやるところを考えた。今年はDFとFWのセットプレーはこだわってやってきたので、自粛期間中も再開後の短い期間も、そこに集中してやってこられた」
天理大、京産大と連敗でシーズンを終えたが、開幕戦の近大(〇28―14)と2節の摂南大(〇52―31)には持ち味を十分に発揮した(京産大戦でも竹内主将は2トライを挙げている)。
「全力でやる部分はチームに残せたと思うし、コミュニケーションの大切さやどうやってチームを運営することが大事なのかというのは伝えられたと思う」
卒業後は一般就職の道を選んだ。第一線でラグビーを続けるのはこれが最後だ。
「1番自分を作ってくれたのはラグビー。一生懸命やるのは当たり前で、チームの状況や周りを常に確認しながら、いろいろ考えて動いてきた。人として成長させてくれました」
後輩たちへ日本一の思いは託した。