国内 2020.10.31

FW安定の日大、新風吹く東海大が開幕4連勝。

[ 編集部 ]
FW安定の日大、新風吹く東海大が開幕4連勝。
FWの地力で上回った日大。写真はLO趙誠悠。(撮影/松本かおり)
鋭い動きでトライも取った東海大CTB赤木凜。(撮影/松本かおり)


 晴天。大型ビジョンの後方、東京六大学野球がおこなわれている神宮球場には明大の応援歌が響いていた。

 穏やかな土曜日(10月31日)。秩父宮ラグビー場では関東大学リーグ戦1部の2試合がおこなわれた。
 日大と東海大がそれぞれ法大と専大を倒し、今季開幕からの連勝を4とした。

 第1試合では日大の安定感が目を引いた。
 PKから不意をつく攻撃を仕掛けられ、法大に先制点を許した(17分/FB根塚洸雅)。しかし慌てなかった。
 試合序盤、日大はスクラムを押される。しかし、すぐに修正。得意のFW戦に持ち込み、ペースを掴んだ。

 HO藤村琉士主将が言う。
「僕たちは相手によってスクラムの組み方を変えています。(きょうも)途中から対応できた」
 法大のチームキャプテンを務める吉永純也は、「最初のスクラムは法政のスタイルでうまく組めたのだけど」と話した。
「そこがうまくいったので、その後も、PKでスクラムを選択した局面もあった。こだわりすぎたかもしれません」
 本来の強みである展開力でもっと勝負すればよかったと悔やんだ。

 ファイナルスコアは35-22で、トライ数は5と4。ゲーム主将の法大、根塚は「大きな力の差は感じなかった。(トライを)取れるところで取れなかった」と体感を口にした。
 日大の藤村主将は「相手のアタックをしっかりディフェンスし、全員で走り、ハードワークしたのが勝因」。途中出場ながら2トライを決めてマン・オブ・ザ・マッチ(以下、MOM)に選ばれた齋藤芳徳は「リザーブも含めて全員で準備をして臨んだ試合。途中から出た自分がMOMに選ばれたのもチームが一丸となっているから」と話した。
 日大の方が、ぶれることなく目的地に向かったから勝利を手にした。

 2試合目は、東海大が13トライで85得点(前半=33-0)。専大を無失点に抑え、大勝した。

 専大はキックオフボールを受けた青いジャージーをダブルタックルで外に出し、マイボールのラインアウトを得る。
 そこから展開を重ねる滑り出しを見せたが、キックチャージからLOワイサケ・ララトゥブアに先制トライを許してしまった。

 開始2分で先手を取った東海大は、局地戦で力強く戦い、ワイドにボールを散らす。アウトサイドでのオフロードパスも効果的で、トライを重ねた。
 ルーキーながら10番を背負った武藤ゆらぎ(東海大仰星)ものびのびとプレー。自ら仕掛けるシーンもたびたびあり、チームに勢いをつけた。
 MOMには、その武藤とともに巧くゲームを作ったCTB杉浦拓実が選ばれた。

 木村季由監督は、武藤をはじめ、スタメンに名を連ねた3人のルーキーのパフォーマンスに目を細めた(リザーブのアフ・オフィナも含め4人)。
「武藤は周囲の声を聞けるし、やってほしいプレーをしてくれる。谷口(宜顕/WTB)の強気のプレーもいい。ポロメア(カタ/WTB)はもっと細かいプレーをしなければいけないが強い」
 決定力のある望月裕貴(WTB/3年)がプライベートな理由で退部したものの、新しい力の台頭が頼もしく見えた80分だった。

 敗れた専大の村田亙監督は、「東海大のラグビーについていけずディフェンスが崩壊してしまった。完敗です」と話し、巻き返しの思いを胸に秘めていた。

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