コラム 2020.09.01
【ラグリパWest】いずれはジャパンのリアルLOに。 能勢涼太郎[兵庫・川西北陵高校]

【ラグリパWest】いずれはジャパンのリアルLOに。 能勢涼太郎[兵庫・川西北陵高校]

[ 鎮 勝也 ]



 県立の川西北陵は県東部の川西市にある。大阪と境を接し、付近には小高い山やニュータウンが散在する。
 学校創立は1983年(昭和58)。全日制の普通科校で、女優の松下奈緒も通った。
 1学年は7クラス。40人学級で全校生徒840人ほどである。

 ラグビー部は創立の6年後にできた。
 ジャージーはグレー、黒、白の渦巻きだ。土のグラウンドは、野球、サッカー、陸上と共有するが、無理をすればトラック400メートルがとれるため、狭さは感じない。
 ただし、ラグビーポールは仮設だ。

 学校には緑があふれる。村山は話す。
「森を切り開いて、上にポコンと校舎を乗せた感じです。熊は出ませんが、鹿やタヌキは出ます」
 自然に包まれ、涼太郎は育っている。

 8月22、23日には、日本協会主催の合宿に参加した。TID(Talent Identification=人材発掘・育成)として、体の大きさや脚力を持つ者(Bigman&Fastman)に特化し、技術や意識向上などを目指した鍛錬の場である。

 涼太郎は昨年12月に続き、2回目の参加になった。コロナを考慮して、オンラインで行われた合宿で成長を感じる。
「去年は1年生で意見を言えませんでしたが、今年はたくさん話せました」
 3人ほどのグループワークでスクラムの強化などのテーマで自分の考えを示せた。
「教えてもらっていることは身についていると思います」

 196センチは参加80人の中で、最長身。そこに至る歴史を振り返る。
「牛乳は1日1リットルは飲んでいました。ヨーグルトも果汁なんかをかけて1日1パックは食べます。食べようと思えば、いくらでもいけますが、2パックは母に止められます」

 休みの日には半日は布団から離れない。
「ゲームより寝ることが大事です」
 寝る子は育つ、を地で行く。公務員である父と母の身長は男女の平均。弟は170センチほどである。
「親族の間では『突然変異』と言われてます」

 あるプロ野球のスカウトの言葉がある。
「身長は才能。これは練習でつかない」
 体重はトレーニングやプロテインで増やすことができるが、背丈を伸ばす方法はない。その才能は尽きない。村山は言う。
「まだ伸びていますよ」
 昨年の全国大会県予選のパンフレットは193。そこから3センチ上乗せした。体重も8キロ増の91になっている。

「夢は2メートルになること。海外の選手と渡り合って、高校からラグビーを始めた僕でもやれる、ということを証明したいです」

 9月3日には100回記念全国大会の県の抽選会がある。2年から3年。そして、大学へ。一連の流れの中で着実に進化をしていきたい。
 その先に、桜のジャージーがあれば言うことはない。


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