海外 2020.06.05

ゴールデンポイント導入。NZ版スーパーラグビー『アオテアロア』適用新ルール

[ 編集部 ]
ゴールデンポイント導入。NZ版スーパーラグビー『アオテアロア』適用新ルール
試験的ルール変更を頭に準備をすすめる各チーム。写真はハリケーンズ。(Getty Images)



 6月13日(土)のキックオフが待たれるNZ国内版スーパーラグビー『アオテアロア』開催に向けて、ポイント制の詳細や、新ルール適用の有無などが正式に発表された。
 発表に際してNZ協会のプロフェッショナル部門長、クリス・レンドラム氏は「我々はこの大会が、これまでとはひと味違ったものになることを目指している。このSRアオテアロアを、素早いゲーム展開に加え、より安全性を高め、そしてファンを楽しませられるような大会にするべく、各チームのフロント、コーチ陣、選手、レフリーから多くの協力を得られた」と話した(NZヘラルド紙より。以下、同)。

 まず特筆すべきは、ゴールデンポイントの導入だろう。
 前後半80分を戦って同点だった場合、10分間の延長戦に突入する。延長戦でドロップゴール、ペナルティキック、トライのいずれかの方法で先に得点したチームが勝利となる。
 このゴールデンポイントについてレンドラム氏は、「引き分けは多くの場合、コーチや選手が虚しさを感じるという声があがっていた。またラグビー・リーグ(13人制)では、このシステムの採用で大きく盛り上がる試合をいくつも見てきたため、参考にした側面もある」とした。
 はっきりと勝敗をつけることで、選手、観客双方の緊張感と高揚感を引き出すことを目指す。

◆獲得ポイントは以下の通り。
勝利…4ポイント
敗戦…1ポイント
引分…2ポイント(10分間の延長でも両者得点がない場合)
BP…1(勝敗に関わらず相手より3トライ以上多く獲得した場合)

 レッドカードによる退場にも新たなルールが適用される。
 2019年のワールドカップ でも過去最多のレッドカードが提示されるなど、選手の安全を第一にする傾向は強い。危険なプレーへの判定基準はどんどん厳しくなっている。
 そうした流れの中で、レッドカードによる一発退場者を出した側が、数的不利な状態で試合の残り時間を戦うのはディスアドバンテージが大きい。それが試合結果に直結することから、今回、新ルールが適用される。
 具体的には、レッドカードを受けた選手は退場。ただし、20分が経過した時点でチームはベンチから選手をひとり投入できるというものだ(数試合の出場停止など、退場した選手へのサイティングはこれまで同様におこなう/イエローカードの適用には変更なし)。

 このルールに関してレンドラム氏は、「レッドカードで退場したままだと試合の面白みも半減する。懲罰的に20分間は数的不利でも、そこからまた同数で戦えるようにすることで、選手の遵法意識の高まりと、ゲームレベル維持のバランスが取れると考えている」と説明する。

 また、ブレイクダウンにおいては、現行ルールに変更を加えることは無いが、各ルールの基準をより明確に、厳格に適用する方向性が示された。
 NZ協会のレフリーマネージャーのブライス・ローレンス氏は、今回のブレイクダウンのルール厳格化について、「ファンはスーパーラグビーに、ハイテンポでダイナミックなラグビーを期待している。我々レフリーもできる限りゲームを笛で区切らずに流していきたいと考えているため、より素早く、フェアに、安全に、そしてわかりやすいレフリングを目指す。今回はそのために、ルールを変更するのではなく、適用の仕方を見直す」と背景を説明した。

 具体的に発表があったブレイクダウンにおける項目は以下の通りだ。
◎ボールキャリアーはタックルを受けた後、一度だけなら身体の動きが許される→その後、パスやダウンボールを除き、地面を這うなど、その他の動きをおこなうと反則となる。
※相手が正当にボールにプレー(ジャッカル)した場合は、ただちにボールを離さなければならない(従来通り)
*編集部注: 追加しました

◎タックラーはタックル成立後、ただちに、どちらかのタッチライン方向にロールアウェイすること。これがタックルの場面におけるレフリングの最優先事項となる

◎ディフェンス側のラインオフサイドについて、アシスタントレフリーともコミュニケーションを増やし、「確実にオンサイド」であることを今まで以上に厳しくチェックする

 北半球と比べ、ワイドな展開や、早いテンポでの攻防を特徴としてきた南半球のラグビー。今回は試験的というものの、そういった展開やテンポをさらに加速させる方向でのルール設定がなされた。
 より一層、魅力的なラグビーが楽しめるかもしれない。


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