国内 2020.04.09

笑顔大好き、築城昌拓。

笑顔大好き、築城昌拓。
今年の7月に37歳になる。セブンズ日本代表の主将も務めた



 自宅で過ごす時間が長くなったこの春。福岡に住む人たちは、土曜の夜に楽しみができた。
 毎週午後9時45分からはラジオを聴くといい。愉快で深いラグビー話が詰まった15分が待っている。

 4月4日から、RKBラジオで『FUKUOKA 15』が始まった。パーソナリティを務めるのは、昨シーズンまでコカ・コーラレッドスパークスの広報を務めていた築城昌拓(ついき・まさひろ)さんだ。地元では高校ラグビー中継の実況担当として知られる、茅野正昌アナウンサーとのコンビでラグビーの魅力を伝える。
 初回こそ自分自身の紹介で始まったけれど、ゲストを招いて情熱や言葉を伝えたり、用語やルールの説明もリスナーに伝える。4月11日には東福岡高校の藤田雄一郎監督が登場予定だ。

 2017-2018年シーズンまで、腰の強い走りで活躍し、セブンズ日本代表の主将も務めた築城さんは、エンターテイナーとして知られる人だ。
 現役引退を決意した時の言葉が印象的だった。
「暴走機関車が普通列車になってしまいました。それでは見ている人を楽しませることができません」

 少年時代から人の輪の真ん中に立ち、笑わせるのが好きだった。「僕のアゴが出ているのは、大好きだった志村けんさん(故人)のアイーンと、アントニオ猪木の真似をし過ぎたからなんです」と言う。

 選手としても、いつの時代もチームのムードメーカーで、主将のときも、その姿勢を貫いた。
 ワールドカップ開催時期とも重なったチーム広報時代も、多くのイベントに参加し、情報を発信した。そのころ築いた人脈が、いま、生きている。

 3月いっぱいで会社を辞めたのは、ラグビー普及を生業として生きていきたいと考えたからだ。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、頭に描いている子どもたちへの指導活動はスタートを切れていない。平穏な日々が戻った時にいっきに動き出せるように、準備を重ねる。

 ラグビー界以外との接点も少なくなかった現役引退後。その間にできた縁がきっかけでラジオの仕事に声がかかった。
「自分の活動が、福大やコカ・コーラなど、お世話になってきたチームのためにもなればいいな、と思ってやっています」と話す。

 笹丘少年ラグビークラブ、福岡西陵高校、福岡大学、レッドスパークスと、福岡で生まれ、ラグビーを始め、スパイクを脱ぐ人生を歩んだ。
 だから、これからは福岡とラグビーに恩返しをしていきたい。強く、そう思っている。

 チーム広報活動などを通して、福岡には少年ラグビークラブこそたくさんあるが、平日に中学生がボールに触れる機会がほとんどないと知った。
 そんな環境を変えたい。そして、この地でラグビーを始めた子どもたちが、高校まででなく、その後も福岡のラグビーを盛り上げる存在になれるような舞台も作りたい。

 母校・福岡大学のラグビー部をもっと輝かすことができたら、考えているようなことが実現するのではないか。
 そんなことを頭に、いろんな人と会い、学び、話している。
「この2年(の広報時代)で、いろんな企画を考えたり、実行したりして、自信もついたし、やりたいことも増え、いろんな人たちと知り合えました」
 もともと知識欲旺盛。最近、視覚機能を高めるビジョントレーナーの資格も取得した。

 ケーブルテレビのスポーツ番組でMCを務める話ももらった。高校の非常勤講師の打診も受けた。
「いろんなお話をいただけるのは本当にありがたいこと」と話す。
 メディアを通し、自分を世界に出してくれたスポーツを広められる幸せを感じている。やがて世の中が元通りになったら、子どもたちとも触れ合える。
 ラグビーの広報マンとしての人生を、現役時代同様、迷いなく走る。


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