海外 2020.03.27

エディーも減給受け入れる。新型コロナにイングランド協会も大打撃

[ 編集部 ]
エディーも減給受け入れる。新型コロナにイングランド協会も大打撃
イングランド代表を率いて5シーズン目に入ったエディー・ジョーンズ監督。(写真/Getty Images)



 新型コロナウイルス感染拡大による影響は、世界中でもっとも財政面で潤っていると言われるイングランドラグビー協会(以下、RFU)にも大きな打撃を与えている。
 現地のメディアが相次いで報じた。

 今回のウイルス騒動の影響で、RFUは最大で5000万ポンド(3/27現在、日本円で約66億5000万円)の損失が出る見込みという。
 これは、収入源のメインとなるトゥイッケナムが新型コロナウイルスの影響で当面の間使用禁止となることから産出されている。イングランド協会の収入の約85パーセントは、同競技場でおこなわれるテストマッチによるもの。1試合あたり、12億円以上の利益をもたらすこともあると言われている。

 6月に同競技場での開催が予定されていたイングランド×バーバリアンズの開催も難しいと見られているほか、夏に予定されていた人気K-POPグループ、BTSの2つのコンサートも雲行きが怪しい。これらの中止は、RFUのキャッシュフローに直接的に打撃を与えることになる。
 また、11月のテストマッチ開催も不透明。それも今後の見通しを暗くしている。

 RFUのビル・スウィーニーCEOは、「RFUの最大の収入源であるトゥイッケナムが使用不可となると、維持費なども含め最大の負債となる。実際にスタジアム運営で赤字が出始めると、国内のラグビー競技全体への投資も滞ることになる。協会という組織であっても、試合をしてチケット等で利益を出さねば経済的に回らないのは草の根のクラブと構造的に通ずるところがある」と話す。

 RFUはこれまでに、シーズン全休が発表された草の根のラグビークラブへの8億5千万円ほどの経済的支援を表明した。
 そのうち6億円は資金を要するクラブへの貸付枠として予定し、それ以外の2億5千万円は、国内3部リーグにあたるナショナル・リーグ・ワン以下に所属する各チームへの直接的支援として確保している。

 また、苦しい財政は、RFUの経営スタッフや代表チーム首脳陣のサラリーも直撃する。
 スウィーニーCEOが自身の減給25パーセントを受け入れたほか、イングランド代表を率いるエディー・ジョーンズ監督も25パーセントの減給となった。
 同監督の年俸はおよそ75万ポンド(約1億円)で、代表監督としては世界で2番目の高給と言われている。スイーニーCEOによると、「我々協会上層部の減給に関してエディーに連絡した際、彼はすぐに彼自身の減給にも合意を示してくれた」という(BBC)。

 ただ現地報道の中には、今回の決定が今後に影響を及ぼすと見るものもある(ガーディアン紙)。
 現行のRFUとジョーンズ監督の契約は、2021年夏で終了予定。今年のシックスネーションズでウエールズを破った後のインタビューで同監督は、「これから2023年ワールドカップまでの契約延長に関してCEOと交渉する」と話していた。
 その際に、今回の減給が延長の可否になんらかの形で関連するかもしれないというのだ。

 減給は年俸ベースで、ボーナス、年金を含む全体からの25パーセントカットと言われる。
 ジョーンズ監督は昨年のワールドカップでチームを決勝まで導いた功績により、今年6月末のボーナスで相応の額を受け取る予定だった。
 しかし、それも一旦は忘れなければいけないかもしれない。

 RFUは、高額を受け取っていた理事会のメンバー以外の職員にも減給を求める模様だ。
 例えばイングランド代表のコーチングスタッフ陣には3か月間の基本給10パーセント減が要請された。
 これらの減給措置は協会所属の職員の中でも、年額で約365万円以下の者には適用されない予定だ。


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