国内 2020.03.09

3月いっぱい、トップリーグが見られない。「コンプライアンス教育徹底の期間に」

[ 編集部 ]
3月いっぱい、トップリーグが見られない。「コンプライアンス教育徹底の期間に」
「ラグビーファンの皆様の期待を裏切ってしまって申し訳ありません」と太田治チェアマン。(撮影/松本かおり)


 3月中はトップリーグを楽しめないことが発表された。
 9日午後、同リーグの太田治チェアマンが会見を開き、3月14日、15日の第9節と、3月21日、22日に延期されていた第7節、3月28日、29日の第10節(計3節/24試合)を休止することを決定したと伝えた。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、2月29日、3月1日の第7節を3月21日、22日に、3月7日、8日の第8節を5月2日、3日に延期していたが、今回の判断は、ウイルスとは無関係だ。
 3月4日に日野レッドドルフィンズ所属の選手が違法薬物使用容疑で逮捕された。それによって同チームが今後の活動を無期限に自粛する事を決定したため、同リーグはコンプライアンス(法令・規則遵守)教育を徹底しておこなう。中止とした3節の期間を、その時間にあてる。
 ウイルス問題もあり、4月以降の再開予定もまだ明確にはなっていない。

 昨年6月には、トヨタ自動車ヴェルブリッツの2選手がコカイン所持で逮捕されている。太田チェアマンは「同年度内に複数のチームから違法薬物関連の逮捕者が出たことはトップリーグだけでなく、日本ラグビーの根幹を揺るがす非常事態」と話した。
 トヨタ事件の際に各チームにインテグリティー(誠実さや高潔さの意)オフィサーを置き、再発防止に取り組んだものの「不十分だった」と認めた。

 それを踏まえて今回も各チームの同オフィサーらと意見交換し、さらなる再発防止への方向性は一致していると話した。
 リーグとして、それぞれのチームでのミーティングや個別面接、コンプライアンスについての研修を実施してもらうとしたが、ファンからの信頼を回復できる策かどうかは疑問が残りそうだ。

 全選手への一斉検査、その結果の公表なども考えられるが、それについては「視野に入れている」、「(各チームから検査後の)紙を提出してもらうことも考えている」と答えるにとどまった。
 個人の愚行がチーム全体の自粛、リーグ全体の休止となることについて違和感を持つ人も多いだろう。それについては、各チームの関係者からも「信頼関係が大事」と反論はなかったという。
 ラグビー選手=薬物と想起する人たちの感情を払拭する強い思いからの判断と強調した。

 今回の措置で中止となった試合の勝ち点や、日野が自粛したことによるキャンセル試合との扱いの違いについては検討中だ。
 また、試合中止によって発生した損害への賠償についても、昨年6月のケースを参考にするものの現段階では未定となっている。

 3月16日に日体大健志台グラウンド(横浜)、同23日に近大(東大阪)で予定されていた「トップリーガー発掘プロジェクト2020」も開催が中止となった。
 こちらは新型コロナウイルスの感染拡大が中止理由だ。

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