国内 2020.01.29

日本代表入り叶えば大きな戦力。ナエアタ、神戸製鋼入り後の進化。

[ 向 風見也 ]
日本代表入り叶えば大きな戦力。ナエアタ、神戸製鋼入り後の進化。
サントリー戦で活躍した神戸製鋼のタウムア・ナエアタ(撮影:早浪章弘)


 国内最高峰のトップリーグで昨季王者となった神戸製鋼は、才能あるアイランダーを世界的な戦士に育成する機関となりつつある。

 トンガ出身NO8のタウムア・ナエアタは言った。

「コーチたちもいいコーチ。スキルとか、自分の足りない、弱いところにフォーカスして、練習をしてくれます」
 
 1月26日、地元のノエビアスタジアム神戸。昨季のファイナルで戦ったサントリーを35-29で下す。

 サントリーは終始、ボールを保持する意志を貫く。序盤はオーストラリア代表CTBのサム・ケレビ、東海大卒ルーキーでNO8のテビタ・タタフの突進、ミスマッチの起こった大外への展開などでチャンスメイク。神戸製鋼は前半4分には先制され、ハーフタイム突入時も20-16とわずかなリードを保つのみだった。

 しかし、王者は慌てなかった。

 後半12分には反則の繰り返しによる一時退場処分で14人となるが、相手が1人多い時間帯の防御局面で「ブレイクダウン(接点)には誰も入らない。頑張ってグラウンドから立ち上がるのを速くした」とナエアタは言う。

 16分には、WTBのアンダーソン フレイザーが自陣22メートル線付近右で相手のミスボールを拾って走る。ここからニュージーランド代表112キャップのSOであるダン・カーターの突破、日本代表CTBのラファエレ ティモシーのノールックパスなどが重なり、最後はCTBのリチャード・バックマンがトライ。直後のゴールキック成功で32-16と点差を広げた。

 背番号8は、流ちょうな日本語でこうも話した。

「前半はペナルティが多くて、それでサントリーがアタックできて、スコアをされました。ハーフタイムに集まって話しました。ペナルティをなくして、神戸のラグビーにフォーカス…と」

 小学校1年時にトンガカレッジでラグビーと出会い、2014年に流経大入り。大学ラグビーシーンでパワフルな突破を繰り出していたが、2018年度入部の神戸製鋼では新たな一面もアピールする。

 強烈な突進力はそのままに、タッチライン際を駆けるスピードが増し、プレーを終えて次のプレーに移るまでの時間が短くなったような。

 さらに際立つのは、防御時のラックへの働きかけ。相手が球出しをしそうな箇所へ強靭な身体をぶつけ、そのテンポを鈍らせる。

「ボール(球出し)をスローにする。プレッシャーをかけて、もともと(相手が)2人入っていたラックに3、4人と集めて、相手の(次の)アタック(の人数)を減らす」

 身を挺して次の防御をする仲間を助け、何より、自分自身もすぐにそのラックを抜けて防御網へ入る。

 FLに入る橋本大輝ゲーム主将は「あんな強い人間、見たことない。相手の脅威になってくれている」とナエアタを讃え、その献身ぶりについては「ウェイン・スミスのおかげです」と即答する。

「(スミスは)トップの選手に対してもプレッシャーをかけ、伸ばしていこうとしているので」

 元ニュージーランド代表アシスタントコーチのスミス総監督は昨季就任。定期的に来日し、他の常駐のコーチ陣たちとともに各選手の成長を促す。

 PRの中島イシレリも、LO、NO8としてプレーしていた2018年に反則の多さなどを改善。スミス総監督から助言されたためだ。2019年には日本代表でいまの位置に転向し、ワールドカップ日本大会8強入りを果たしている。

 中島にとって流経大の後輩にあたるナエアタは、今季から先発NO8に定着。中島のPR転向などに伴うチャンスをつかんだ格好だ。昨年は、代表組のいないカップ戦でもオフ・ザ・ボールで働いていた。

 その見た目は大学時代よりもシャープに映る。身長193センチ、体重110キロのサイズは「体重は(依然と)変わらない」とのことだが、「神戸は体脂肪が厳しい。毎週、チェックするから」とも続ける。

 そう。ここにスミス総監督らの管理体制の妙がにじむ。逆三角形に近い上半身をぴんと伸ばし、本人はこうも笑う。

「体脂肪率。大学生の頃はあまり計ってないですけど、(確実に)減ってますよ。僕はFWで一番低いから」

 橋本もうなずく。

「(チームの体重管理は)トンガ人には特に厳しいんじゃないですか。(ナエアタは)もともと運動能力が高い人間なので、絞ってよりよくなったのかなと」

 高炉で鋼を作るがごとく国際的戦士を輩出しそうな神戸製鋼にあって、まもなく26歳のナエアタはこの先も見据える。

「日本代表、入りたいです」

 過去に20歳以下トンガ代表への選出歴があるため、代表資格取得の可能性についての調査こそ求められよう。ただし本人は、今年6月以降のウェールズ代表戦、イングランド代表戦へも出場したいという。

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