コラム 2019.12.31
【ラグリパWest】ラグビーの王国で自分を磨く。 水谷咲良(ハミルトン・ガールズ・ハイスクール)

【ラグリパWest】ラグビーの王国で自分を磨く。 水谷咲良(ハミルトン・ガールズ・ハイスクール)

[ 鎮 勝也 ]



 学校は北島のハミルトンにある。国内最大で唯一の100万人都市・オークランドから車で南に2時間ほど下った場所だ。
 留学生の受け入れは3か月などの短期だけではなく、1年以上の長期も可能だ。

「ニュージーランドの美しい自然もありますが、学校の周りに羊はいません。近くには映画館やスーパーが入ったモールがあるので、買い物などがすぐにできて便利です」

 さくらは2003年12月13日生まれ。2歳ずつ違う兄・健太郎と弟・康生がいる
 小4から三重・四日市ジュニアラグビーフットボールクラブで競技を始める。

 きっかけは家庭科や福祉教員の母が、朝明(あさけ)高校で斎藤久(現・四日市工業高校)の同僚になったことだ。斎藤はラグビー部を全国レベルの強豪に仕立て上げた。母も顧問になる。

 さくらは楕円球を持った当時を思い出す。
「やってみたら走ったり、タックルしたりできて楽しかったんです」
 3歳から始めたレスリングよりも、広い場所を走れる点で自由度が高く映る。

 母は現在、通信制の北星高校の教頭をつとめる。さくらのレスリングでの成功を語る。
「年長で初めて全国大会で優勝して、小学校の間も何度か全国で優勝しています。中学の時は全国で3位でした」
 持って生まれた運動能力は二刀流を可能にできるほど高かった。

 女子ラグビーチームの「三重パールズ」が2016年5月に始動してから、そちらでも練習を続ける。中学時代は三重県のスクール選抜。男子に伍して戦った。
 
 やがてラグビーに絞る。斎藤のアドバイスもあって南半球に飛んだ。
 そして、成果を積み上げている。

 今はクリスマスを含むスクール・ホリデーで帰国中だ。12月27日には大阪・花園ラグビー場を訪問した。第99回高校全国大会の前座であるU18花園女子15人制試合を母と弟と一緒に観戦。日本の同世代のプレーを目の当たりにし、刺激を受ける。

 高校を卒業すれば日本に戻り、大学に進む予定だ。
「オリンピックに出るのが目標です」
 留学当初に望んだ「強さ」は、逃げて帰らなかったことで体得が証明された。
 目標を実現させる力は十分にある。

今年9月にあったニュージーランドの15人制国内大会で優勝盾を持ちほほ笑む水谷咲良


PICK UP