初めての女性レフリー、花園の舞台へ。「丁寧に」選手の力引き出す。
その高橋レフリーのパフォーマンスを「さすが真弓さん。安心して見ていました」と話すのは、大会2日目の若狭東×郡山北工(36-21で若狭東の勝利)のレフリーを担当して、2人目となった上原睦未さん。31歳の九州協会公認レフリーだ。
上原さんは高橋さんと1歳違いで、日体大時代のチームメート。LOとして活躍した。浮羽ヤングラガーズ(福岡)でラグビーと出会い、中学、高校は、将来のラグビー復帰も頭に入れて陸上部に入る(800メートル走、1500メートル走など)。
その時期に手に入れたスピードと体力は、日体大でのプレー時やレフリーになった後に活かされている。
この世界を志したのは、大学卒業後に2年ほど働き、その後、教員として奉職した特別支援学校での出会いがあったからだ。職場で現役レフリーの影響を受け、指導者や選手とは違うラグビーとの関わり方があることを知った。
「大好きなラグビーを、誰よりも近いところで見られることも魅力でした」
愛好の気持ちは上達への近道。熱心に取り組み続け、めきめき上達していった。
3年ほど前から九州の大学レベルでジュニア戦や下部リーグの試合を担当。アシックスカップの経験もある。九州高校大会や福岡の花園予選準決勝も任された。
高橋レフリー同様、今夏は菅平で強豪校同士の練習試合も吹いた。コカ・コーラ所属のトップレフリー、麻生彰久さんを中心とした勉強会にも参加して知識を増やす活動も続けている。現在は福岡県立柳河特別支援学校勤務。個人トレーニングや映像を見ての研究も重ねている。
花園のピッチに立つときの胸中を尋ねると、高橋レフリー同様、「丁寧に」という言葉が口から出た。
「両チームの、この試合への気持ちも理解しています。そういうものも感じて、丁寧に、と」
いつもと変わらぬように。そう心がけたものの、普段より少しだけ早くから準備しはじめる自分がいた。心地よい緊張感の中で試合をすすめられた。
できるだけ選手同士でやってほしい。そう思っているから、プリベントコールの重要性を理解しながらも、喋りすぎないようにしている。
そして、互いの特性を出し合えるように事前の予習も忘れない。
12月30日の浦和×青森山田を担当することも決まった。両チームが力を出し切る60分のサポートをしたい。