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【ラグリパWest】トライ、関西に凱旋す。中田都来[筑波大FL]
医学は生まれたころから身近にあった。
母・勢津子は内科医。淡路島で「中田医院」を開業している。母の姿を見続けて、その道を志すことに違和感はなかった。
医師を目指しながら、ラグビーもトップレベルでできる国公立は筑波だけだった。
センター試験では900満点中830点を取る。高校では10番台。東京の理科三類(医学部)に挑めるレベルも初志を貫いた。
大学では単位も順調に取得している。
「今まで再試験を受けたことはありません。夜の7、8時に練習が終われば、ごはんを食べて12時くらいまでは勉強します」
部も特殊性を認める。
「授業も練習も融通をきかせてもらっているみたいです」
武藤は本人から報告を受けている。
それに甘え、遅れを作らないため、ラグビーにおいても努力をする。
「空き時間があれば、ウエイトをしたりしています。1時間半くらいはやります」
体重は入学から10キロ増やした。
医学群生が、医学や同好会のラグビー部ではなく、体育会でやり、しかもレギュラーを獲るのは、1973年(昭和48)の開学以来、初めてのことだ。トライは先駆者になる。
筑波の偉大な先輩に福岡堅樹(パナソニック)がいる。WTBとして日本代表キャップは38を数える。
「自分とはまったく比較になりません。むちゃくちゃすごい方です。恐れ多いです」
福岡は情報学群出身。来年の東京五輪後に医学の道に進む予定だ。
トライは医学群に入り、ラグビーを高いレベルで会得しようとしている。
トライが尊敬する選手は1学年上の土谷深浩(つちや・しんこう)だ。
「接点で激しいし、一歩でも前に出る。公私ともにお世話になってもいます。ああいう選手になれたらなあ、と思っています」
土谷は逆サイドのFL。試合中も心強い。
学生4強をかけた次の試合は12月21日(土)。相手は関東リーグ戦の覇者でシード校の東海だ。東京・秩父宮でキックオフは正午を5分過ぎてである。
「試合に出させてもらったら、ずっと走り続けて、体を当て続けます」
目指すのは整形外科医。しかし、その前に勉強ではない達成感を味わいたい。それは社会に出る前に人間の幅を厚くする。
ふるさとでもらったパワーも合わせて、トライは自分を包むすべてのもののために、楕円球を前に運ぶ。