コラム 2019.12.06
【ラグリパWest】久保家の三代目。 久保太陽 兵庫・報徳学園ロック

【ラグリパWest】久保家の三代目。 久保太陽 兵庫・報徳学園ロック

[ 鎮 勝也 ]
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 父は専大に進む。1年下の村田亙(現監督)とHB団を組んだ。村田は日本代表キャップ41を得るスクラムハーフに成長する。
 太陽は父のプレー映像を見たことがある。
「大学時代のビデオは家にあります。キックが上手で両足で蹴れていました」

 就職はNTT関東(NTTコミュニケーションズの前身)。現役を10年続ける。引退後は社業に専念。愛媛から徳島を経由して兵庫に戻ってきた。太陽が小1の時である。

 当時、久保家ではラグビーを継ぐ者がいなかった。父の2つ上には伯父・信正がいる。大阪・芥川から日体大に進んだスクラムハーフだったが、その子供たちはサッカーを選んだ。太陽の上にいたのは姉・ひなのだった。
「太陽がやるしかない」
 血を絶やさないため、自宅の近くにある甲子園チビッ子ラガーズクラブに連れて行く。

 ラグビースクールは小3から西宮、中学からは吹田(すいた)に移る。大阪府のスクール選抜入りもして、報徳学園に進む。
「家から近いですし、グラウンドが人工芝だったのもよかったです」

 父にもこの学校には思い出がある。
「前田先生からも誘ってもらえました。だから、太陽の入学でご縁を感じています」
 浪商は報徳学園ともよく練習試合を組んだ。それに帯同した父は、当時の監督だった前田豊彦にも可愛がられていた。

 太陽は183センチ、93キロの体躯を生かすため、今年1月、センターから祖父と同じロックにコンバートされた。
「最初はあんまり乗り気ではありませんでした。でも、やったら楽しかったです。センターよりもボールがたくさんもらえます」
 パスを含めたランニングプレーはお手のもの。正位置をつかみ、転向は吉と出る。

 この同時期、太陽は規則に抵触し、同級生数人と停学処分になった。監督の西條裕朗は家庭訪問などでじっくり話し合った。
「若気の至りです。やったことは悪いが、きちっと反省して、よりよく育ってもらえばいい。ウチの成長株ですから、ラグビーではもっと自分を出して、暴れてほしいですね」
 温かく教え子を見やる。

 報徳学園にとっては4年連続45回目となる99回全国大会は12月27日に開幕する。
 父は期待を込める。
「花園に出てくれるのは、率直にうれしいです。太陽ががんばってくれたら、それはオヤジの供養にもなりますから」
 聖地は一家にとって特別なままである。

 久保は言う。
「やりがいはあります。おじいちゃんがラグビーに関わってくれて、それが父につながりました。そうして、今の僕がいます」
 三代目の責務を果たしたい。

久保の祖父・正道さんの遺影を持つ父・正彦さん


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