国内 2019.11.26

成長中の法政スクラム。牽引する東北トリオのフロントロー。

[ 多羅正崇 ]
成長中の法政スクラム。牽引する東北トリオのフロントロー。
法政大の第1列。向かって右から1番・宮川優也、2番・濱野隼也、3番・菊田圭佑(撮影:多羅正崇)


 法政大のスクラムが成長著しい。
 11月9日の東海大戦では相手ボールスクラムをターンオーバー。11月16日の大東大戦ではファーストスクラムから押し切り、PKを奪った。
 
 強力スクラムの最前線にいたのはこの3人だ。
 左PR宮川優也(仙台育英④)、HO濱野隼也(秋田工③)、右PR菊田圭佑(仙台育英③)。宮川は神奈川出身だが、いずれも東北のラグビー名門高校を卒業。
 今夏から同時出場が増えた“東北トリオ”が、8人一体のスクラムを牽引している。

 関東大学リーグ戦1部の古豪・法政大は、11月9日、東京・秩父宮で全勝の東海大と対戦。
 15-46で敗れたが、後半5分のスクラムで圧倒し、相手ボールスクラムをターンオーバーした。ロック陣はいずれも大澤蓮(長崎南山②)、ウォーカー・アレックス拓也(東福岡④)だった。

 3年生のHO濱野にとって、リーグ戦王者・東海大に対するスクラム・ターンオーバーは「初めて」の経験。
 昨季主将のHO川越藏に憧れ、「人一倍スクラムへのこだわりが強い」(難波克彰コーチ)というHO濱野は、強さの理由として8人のパックを挙げた。

「法政のスクラムには8人がひとつになって固まるために『エイトマン』というキーワードを使っています。東海大戦、大東大戦ではそれができ、力を一点に合わせて押せました」

 4年生のPR宮川は、今季が飛躍の年だったと感じている。

「低さと速さにこだわってきました。そのスクラムが実現できたのが今年だと思います」

 一方で3年生のPR菊田は、フロントローの修正能力を強みに挙げた。

「この3人の感覚が同じで、情報共有もできているので、試合中の対応力も強みのひとつだと考えています」

 今年日本で行われたワールドカップでは3者3様の刺激を受けた。

 HO濱野は同ポジションの堀江翔太のプレーに受け、PR菊田は拓大時代の具智元のプレーを通して「ひとつの目標を持ってやれば体格差があっても押せる」と学んだという。PR宮川は、メディアに引っ張りだこの稲垣啓太を見て「フロントローでも輝けるんだと思いました」と笑った。

 高いモチベーションでシーズンを戦う3人だが、同時出場可能な公式戦は、入替戦を回避すれば11月30日が最後となる。
 2勝4敗の法政大は、ワールドカップの会場にもなった熊谷ラグビー場で、4勝2敗の流経大と対戦する。

「このメンバーで組むのは最後になるかもしれません。ゲームに勢いを与えられるようなスクラムを組みたいです」(HO濱野)

「こだわってきた低さは通用する部分。フォワードで情報交換をしながら、まとまって組んで勝ちたいと思います」(PR宮川)

「このメンバーで組むのは最後かもしれないので、楽しむことと、スクラムを起点のPKをとって敵陣に入る、というスクラムを組みたいです」(PR菊田)

 スクラムで流れを変える。3人にとっての、そしてチームとっての大一番で、集大成の強力パックを見せる。

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