ワールドカップ 2019.10.05
フィジー人としてフィジーらしいラグビーを。南洋の魔術師たち、ウエールズ戦へ闘志燃やす。

フィジー人としてフィジーらしいラグビーを。南洋の魔術師たち、ウエールズ戦へ闘志燃やす。

[ 竹鼻智 ]
【キーワード】



 当時まだ13歳だったというトゥイソヴァは、今回、主力として真紅のジャージーと対峙する可能性が高い。2013年から昨シーズンまでフランスTOP14のトゥーロンでプレーしていた(現在はリヨン)。かつてのチームメート、ジョージアのFLマムカ・ゴルゴゼと、試合前にグランド上で挨拶を交わす場面もあった。

 トゥイソバに限らずフィジー代表選手の多くは、フランス、イングランド、ニュージーランドなどのティア1国のクラブに所属し、世界トップレベルの選手たちと日々、しのぎを削る。
 各選手が世界レベルで揉まれる環境に身を置けることはフィジー代表としても歓迎だ。しかし、複数の国でプレーする選手たちを短期間でひとつに束ねることは簡単ではない。それは、毎大会の課題にもなっている。

 しかしトゥイソバは言う。
「私たちフィジー人は、グランド上では独自のコミュニケーションをとることができます」
 背番号14の好ランナーは、フィジアン・マジックの下地にあるものとして、「つながり」をキーワードに挙げた。

 HOサム・マタベシはイングランド生まれ育ちながらも、フィジアン独特のコミュニケーションに加わっている。
 1980年代にフィジアン・バーバリアンズの一員としてイングランドにやってきた父・シレリさんの影響で、子どもの頃から楕円球を追いかけて育った。イングランド2部リーグ、チャンピオンシップ所属のコーニッシュ・パイレーツでプレーしながらも、英国海軍での勤務にも従事してきた(2019年から仏・トゥールーズへ移籍)。

「プロラグビー選手としてのキャリアは決して長くありません。現役選手としての日々が終わった後は、海軍での仕事を職業としていく予定です。海軍の皆さんには、私がラグビーのために割く時間について理解して貰っており、感謝しています。次のウエールズ戦ですが、フィジー人として、フィジー人らしいプレーを見せたいですね。2007年にフィジーを倒した試合は、もちろんテレビで観ていました。いまから試合が楽しみです」

 選手招集の困難さや予算不足など、様々な制約を受けるフィジー。しかし過去の多くの大会で存在感を示してきた「本番」に強いチームのひとつであることは間違いない。
 ウエールズ相手に、フィジアン・マジックが炸裂することを楽しみにしているファンは多い。


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