日本代表ハンセンDFコーチ、理想のタックル技術と歴史的勝利語る。
9月20日にラグビーワールドカップ日本大会が開幕。各地で繰り広げられる熱戦にあって、危険なタックルが散見される。身体接触時に相手をつかまないノーバインドタックルを仕掛けた選手が、その場でのびてしまうケースもあった。日本代表のスコット・ハンセン ディフェンスコーチは、こう警鐘を鳴らす。
「安全なタックルがベストタックルにつながる。逆ヘッドで入らない、肩をちゃんとした方向に傾けるということを徹底します。また、選手ひとりひとりの特性に見合ったタックルを教えています。田中史朗(身長166センチ)には小さい選手がするタックルを、リーチ マイケル(身長189センチ)にはダイナミックなタックルをするよう伝えています。タックルの高さについてですが、我々は体格が小さいので2人で処理をすることにこだわります。1人はボールに、1人は下にという詳細をち密にしています」
9月28日、静岡のエコパスタジアムで世界ランク2位だったアイルランド代表を19-12で撃破。防御網の鋭い飛び出しで相手の混乱を生み、タックル成功率は相手より3パーセント高い93パーセントとした。
ジェームズ・ムーア、トンプソン ルークの両LOはそれぞれ24、19本のタックルをノーミスで放つ。17本のタックルを放ったHOの堀江翔太も、倒れてからすぐに起き上がって鋭くタックルに入ったり、自陣深い位置で味方のジャッカル(接点で相手の球に絡むプレー)を促すようランナーを抱え上げたりとタフでうまかった。
10月2日、都内で会見したハンセン コーチも、「これは終わった試合なので次に進みたい気持ちがあります」としながら「あの日のパフォーマンスは誇れるものでした」と選手を称賛。試合当日に先発WTBが変わったことでシステムを微修正も、首尾よく対応していたという。
「(当日の対応は)信頼関係があるからこそ達成できた。キャプテン、リーダー、いろんな話し合いをして対応できた。ディフェンスでは特別なものが見られました。気持ちが入っていて、チーム愛が感じられた。素晴らしい姿勢を示してくれました」
10月5日には、愛知・豊田スタジアムでサモア代表と激突する。ハンセン コーチは対するSOのトゥシ・ピシ、FBのティム・ナナイ・ウィリアムズの動きを警戒。全体的にパワフルな相手に対し、防御網の「コネクション」を保ちたいという。
「トゥシ・ピシ、ティム・ナナイ・ウィリアムズ……。どのチームも彼らにはボールを渡したくないはずです。先週からこだわっているのは、周りを把握すること、見ること。アグレッシブなボール保持者にしっかりとしたテクニックでタックルに入り、コネクトし(周囲が反応し)、ボールをスローにする。大きなチャレンジだと思っています」
チームは練習公開中のウォーミングアップで、メンバーを主力格と控えとでまぜこぜにするなど、情報管理も万全。自信を持って当日を迎えたい。