コラム 2019.10.01
【ラグリパWest】 ラグビー精神で『ミント!』を摘む。 岡墻正芳 MBS(毎日放送)プロデューサー

【ラグリパWest】 ラグビー精神で『ミント!』を摘む。 岡墻正芳 MBS(毎日放送)プロデューサー

[ 鎮 勝也 ]
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 岡墻は高校入学とともに競技を始めた。
 天王寺は府内トップの進学を誇る公立校でありながら、その創部は府内最古の1922年(大正11)である。旧制中学時代を含め、冬の全国大会では優勝2回(25回=1943年、30回=1951年)を記録している。

 全国大会出場回数は常翔啓光と並び府内2位の19。トップは37回の常翔学園だ。
 岡墻のひとつ下の代は71回大会(1991年度)の府予選決勝で同志社香里に4-13で敗れた。これは天王寺の最後の決勝進出記録として残る。岡墻は強い時代に育った。

 神戸大でも体育会でラグビーを続けた。
 3年の冬、阪神大震災が起こる。1995年1月17日は、三宮のビジネスホテルで夜勤の受け付けアルバイトをしていた。
「その時、メディアの大切さを痛感しました。現状報告や救助やボランティアの情報がないとみんな何もわかりません」
 四半世紀前、SNSはない。ようやくネットが構築された頃だった。

 MBSには1997年に入局。新人を含め営業に2回、のべ5年間は東京にいた。スポーツ8年、ラジオ8年を経て、テレビに移る。
 思い出深いのは、ディレクターなどで中継に携わった高校ラグビーだ。

「すごいなあ、と思ったのは釜池君と森田君の両センター。アイコンタクトというか、あうんの呼吸で抜いたり、ラインを動かす。あのコンビは飛びぬけていました」

 釜池真道(=かまいけ・しんどう、現NEC)と森田尚希(現近鉄)を擁した啓光学園(現常翔啓光)は84回大会(2004年度)で4連覇。決勝戦では天理を31-14で降した。この連続記録は戦後では最長になる。

「高校ラグビーの涙を見ると、言葉が出なくなります。教えている先生方はお金ではなく、名誉のために活動されている。そういう人たちに触れ合うことができるのは幸せです」
 純粋さは創作意欲のもとになる。

 放送開始から半年を迎えた『ミント!』は視聴率も徐々に上がってきている。
「見るチャンネルってだいたい決まっているんですよね。それが夏休みを過ぎて、変わってきた気がしています」

 長期休暇は子どもたちが家にいる。日頃のルーティーンに変化が起きる。午後6時台に他局が一斉にニュースを報じる中、芸人のたむらけんじらを起用して、バラエティー路線をとった。その差別化が受け入れられ始めた。

 辛抱することにはなれている。ロックとしてスクラムの中心で、フロントーのおしりを押しながら、バックローからは体重をかけられた。ブレイクすれば攻守の軸として、激しく当たり、きついタックルを食らう。

 それでも、最後に試合に勝った時の喜びは忘れられない。『ミント!』も同じ展開になるようにこれからも切り盛りをしていく。

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