ワールドカップ 2019.09.28

2年前のアイルランド戦を再録

2年前のアイルランド戦を再録

2017年におこなわれたリポビタンDチャレンジカップで、
日本代表は12年ぶりに来日したアイルランド代表と2試合を戦った。
第1テスト(6月17日)がおこなわれたのが、
まさに、今回の舞台、静岡・エコパスタジアム。
当時のラグビーマガジンの記事を再掲載します。
試合前までに、振り返っておきましょう!

リポビタンDチャレンジカップ2017 6月17日
日本代表   22-50  アイルランド代表
[3T2G1PG]      [7T6G1PG]

日本の先発メンバーは以下の通り。
1 稲垣啓太、2 堀江翔太、3 伊藤平一郎
4 谷田部洸太郎、5 ヘルウヴェ
6 リーチマイケル、7 徳永祥尭、8 アマナキ・レレイ・マフィ、
9 田中史朗、10 田村優、
11 福岡堅樹、12 デレック・カーペンター、13 ウィリアム・トゥポウ、
14 松島幸太朗、15 野口竜司

リザーブメンバー
16 庭井祐輔、 17 石原慎太郎、18 浅原拓真、19 ツイヘンドリック、
20 松橋周平、21 流大、22 山中亮平、23 松田力也

 序盤はプラン通りにSH田中史朗が防御背後へのキックを繰り返す。最初のトライチャンスはアイルランドSOパディー・ジャクソンにPGで先制された(前半6分)直後だった。
 FLリーチ マイケルが相手のボールを拾って前進し、SO田村優が無人のアイルランド・ゴール左コーナーに向かってキックを蹴り込む。2万7318人の大歓声の中でCTBウィリアム・トゥポウがこれを追う。ゴールライン直前で懸命に戻った選手を捕まえるも、アイルランドが4、5人と次々に現れ、ボールをキープされてしまう。
 直後の前半11分、ハーフウェイライン付近の日本ボールスクラムで圧力を受けると、NO8ジャック・コナンに抜け出され、WTBキース・アールズにトライを奪われる。
 14分、田村優のPGで3点を返した日本は、16分、田村が地面を這うキックを右コーナーに蹴り込み、再びトゥポウがタックル。ゴールライン直前でのラックとなるが、日本側のオフサイドの反則で2つの目のトライチャンスをつぶした。
 24分、日本はゴールラインに迫られたラックでPR伊藤平一郎が倒れながら手を使ったとしてシンビン(一時退場)。14人となった10分間に3つのトライを奪われてしまう。組織防御で圧力をかけられず、必然的に個々のタックルも甘くなる悪循環だった。
 プラン通りにチャンスを作りながら、トライがとれない展開をジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは険しい表情で見ていた。「何がなんでもボールを獲る貪欲さが足りない」。
 日本がボールを出せれば大きくチャンスが広がるボール争奪局面ではことごとくアイルランドがボールを確保した。危機管理能力、規律、反応スピードは見習わなくてはいけない。その紙一重の差がスコアに大きく表れた。
「いい形は作れているのに、自分たちの反則、ミスでチャンスをつぶしています。後半は反則を減らせなければ」(稲垣啓太)
 3-31で迎えた後半、日本代表は反則を減らし、タックルの制度を高め、反撃に出る。後半の立ち上がりから突破力あるNO8ツイ ヘンドリックを投入し、HO庭井祐輔、FL松橋周平、SH流大らフレッシュな選手がスピーディーに動いてチャンスを作り、19分、FB野口竜司が防御の乱れを見逃さずにステップとハンドオフで2人のタックラーを外してインゴール右中間にトライをあげた(10-38)。野口は相手キックに対するフィールディング、ディフェンスも安定しており、その存在感は試合を重ねるたびに高まっている。
 数分後、もったいないシーンがあった。連続攻撃を仕掛けて目の前のディフェンダーを減らしながら、CTBデレック・カーペンターが相手の待ち構える場所にキックしてしまい、その後の攻防でトライを与えてしまった。ここでトライを奪っていれば、最終スコアも僅差だっただろう。
 ジェイミー・ジャパンが目指すキック戦略には的確な判断が求められる。このシーン以外にも疑問符のつくキックは多く、キック後、ボールを奪い返すためのディフェンスも甘かった。圧力を受けたスクラムも含め、課題は山積している。
 アイルランドは、体格で上回りながら、力ずくの攻めではなく、ラインアウトからのサインプレーで2トライするなど、すべてが理詰めだった。戦略・戦術の浸透度も日本とは大きな差があった。
 キック戦略に批判的な声も多いようだが、たくさんの判断ミスがある中で断じるのは早すぎる。この日のアイルランドの防御を見てわかる通り、世界トップ4の防御網は壁のようでスペースが見つからない。キックは鉄の壁をこじ開ける有効な方法のひとつだ。いつ蹴るかの判断を磨かなくてはいけない。この点でも2019年に向かって一戦ごとの成長が求められる。

第2テストは6月24日に味の素スタジアムで行われ、13-35で敗れている。
リポビタンDチャレンジカップ2017 6月24日
日本代表   13-35  アイルランド代表
[2T1PG]         [5T5G]
日本の先発メンバーは以下の通り。
1 石原慎太郎、2 庭井祐輔、 3 浅原拓真
4 トンプソンルーク 、 5 ヘルウヴェ
6 リーチマイケル、 7 松橋周平、 8 アマナキ・レレイ・マフィ
9 流大、10 小倉順平、
11 福岡堅樹、12 田村優、13 松島幸太朗、14 山田章仁、15 野口竜司

リザーブメンバー
16 堀江翔太、17 稲垣啓太、18 渡邉隆之、19 谷田部洸太郎
20 徳永祥尭、21 田中史朗、22 松田力也、23 山中亮平

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