日本代表 2019.08.29
ラグビーワールドカップに挑む日本代表 全31人選手名鑑 その2 【LO・FL・NO8編】

ラグビーワールドカップに挑む日本代表 全31人選手名鑑 その2 【LO・FL・NO8編】

9月20日に開幕するラグビーワールドカップ2019日本大会に向け、ついに日本代表31選手が発表された。「一生に一度」と謳われる地元開催のW杯で、前人未到のベスト8以上を狙うジャパン。その命運を託された31人のツワモノ達とは一体、どんな選手なのか。続いて、同じくFWのポジションから、ロック(LO)、フランカー(FL)、ナンバー8(NO8)の10人を紹介する。 ※ラグビーマガジン編集『ラグビー日本代表応援ブック』より抜粋・改変

姫野 和樹 (FL/NO8)
「強烈なレッグドライブで突き進む和製大砲」

生年月日:1994年7月27日生まれ 
年齢:24歳
出身地:愛知県出身
身長/体重:187㎝/108㎏
現所属クラブ:トヨタ自動車ヴェルブリッツ

 日本ラグビー界待望の和製大砲である。巨漢レスラーのような肉体に圧巻のパワーを宿し、自分より大きな相手タックラーも軽く弾き飛ばして前に突き進む。フィジカルの強さは、現在の日本代表の中でも際立つほどだ。
 一番の魅力は、丸太のように発達した脚をフル稼働させる強烈なレッグドライブ。タックルで倒されたところからボールをリリースし、すかさず立ち上がりながらピックアップしてふたたび前に出る得意技は、相手に当たり勝って乗っかるように食い込み、余裕を持ってボールコントロールとボディコントロールをできるからこそのプレーだ。並外れた推進力は、もちろんスクラムやモールでも威力を発揮する。
 高校時代からポテンシャルの高さは評判だったが、帝京大ではケガや仕事量の少なさから控えに甘んじる時期が長く、レギュラーに定着したのは最終学年になってから。しかしトヨタ自動車に加入し、南アフリカ代表をワールドカップ優勝に導いた名将ジェイク・ホワイト監督のもとで1年目からキャプテンを務めたことで、一気に才能が花開いた。「プレッシャーと孤独感で毎日泣いていた」という日々を経て特大の原石は磨かれ、まばゆいばかりの輝きを放つようになった。
 すごさがわかりやすいプレースタイルに、端正なルックスと人懐こいキャラクターも相まって、今やジャパン屈指の人気を誇る。初めて挑むワールドカップは、姫野和樹にとって存在を世界にアピールする絶好の機会となる。

ピーター・ラブスカフニ (FL)
「信頼感抜群のハードワーカー」

生年月日:1989年1月11日生まれ 
年齢:30歳
出身地:南アフリカ出身
身長/体重:189㎝/105㎏
現所属クラブ:クボタスピアーズ

今春のウルフパックの強化試合では、6戦中3戦で主将を務めた。まだ代表資格取得が確定していない段階で重責を任された事実が、愛称「ラピース」への厚い信頼を物語る。80分間黙々とハードワークし続け、プレーでもメンタル面でも仲間を牽引する姿には、天性のリーダーシップがにじむ。
 南アフリカのチーターズ、ブルズでスーパーラグビー50試合に出場し、2016年にクボタに加入。すぐに圧倒的な仕事量でトップリーグ屈指のFLの地位を確立、2018年にはサンウルブズに加わって際立つパフォーマンスを発揮し、代表首脳陣からジャパン入りを嘱望される存在となった。この6月に晴れて代表資格をクリア。桜のジャージーでピッチに立つ姿が待ち遠しい。

ツイ ヘンドリック (FL/NO8)
「切れ味鋭いムードメーカー」

年月日:1987年12月13日生まれ
年齢:31歳
出身地:ニュージーランド出身(日本国籍)
身長/体重:189㎝/108㎏
現所属クラブ:サントリーサンゴリアス

 切れ味あるフットワークとBK並みの加速力で相手防御を切り裂くラインブレイカー。昨秋のロシア戦では得意のピック&ゴーから約60mを走りきる圧巻のトライを挙げ、思わぬ苦戦にあえいでいたチームを救った。現在31歳ながら、2015年ワールドカップで全試合に出場(南アフリカ戦はNO8で先発)した時に勝るとも劣らない好パフォーマンスを維持している。
 陽気な性格で、所属するサントリーや日本代表のチームソングの作詞を担当するという多才な一面も。2015年大会の帰国会見ではウィットに富んだスピーチを披露し、爆笑を呼んだ。豊富な経験に裏打ちされた安定感あるプレーに加え、ムードメーカーとしても日本代表にとって貴重な存在だ。

德永 祥尭 (FL)
「芯を突き刺すハードタックラー」

生年月日:1992年4月10日生まれ
年齢:27歳
出身地:兵庫県出身
身長/体重:185㎝/100㎏
現所属クラブ:東芝ブレイブルーパス

 飄々とした雰囲気をたたえながら、火花散る肉弾戦で体を張ってビッグプレーをやってのける。185cm、100kgとインターナショナル級のバックローとしては決して大きくはないものの、体幹の強さとスピード豊かな脚力は現代表メンバーの中で有数。迷いなく相手の芯に突き刺さるハードタックルでも貢献度は高い。
 タイトな状況にもひるまず、率先して厳しい選択をできるのは、生来のハートの強さの表れだ。外国人相手にも臆することなく持ち味を発揮できる点も、国際試合では頼もしい武器となる。2016年には7人制日本代表としてリオデジャネイロ五輪に出場。今度は15人制でも世界最高峰の舞台に立ち、実力を示したい。

アマナキ・レレィ・マフィ (NO8)
「世界屈指の破壊力を誇る神様からの贈り物」

生年月日:1990年1月11日生まれ 
年齢:29歳
出身地:トンガ出身
身長/体重:189㎝/112㎏
現所属クラブ:NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

 オーストラリアのレベルズに在籍した2018シーズンのスーパーラグビーでは圧倒的なボールキャリー数を記録(253回/2位は197回)、ボールを持って前進した距離も全体4位の1345mと、突出したパフォーマンスを見せた。破壊力満点の突進と躍動感あふれる動きで、いまや世界屈指のNO8の評価は揺るぎない。
 トンガから留学生として関西大学Bリーグの花園大に入学。通常ならトップリーグのリクルーター網にはかからないところだったが、大学3年生の春に出場した関西学生南北対抗戦で大暴れする姿を目撃したチーム関係者から声がかかり、トップリーグのNTTコミュニケーションズ入りが決まる。
 さらに1年目から他の実績ある外国人選手を押しのけて出場機会をつかむと、インパクトあるランを連発。それを見た日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(当時)は、即座に代表招集を決断したという。ちなみにジョーンズ氏はマフィのことを「ギフト(神様からの贈り物)」と評していた。
 南アフリカ戦でカーン・ヘスケスの逆転トライを導くパスを出すなど、2015年ワールドカップでの活躍は記すまでもない。2018年のスーパーラグビー最終戦後に暴力事件を起こし、しばらくは謹慎処分でラグビーから遠ざかったが、秋に復帰。日本代表活動にも2019年の3月より加わり、さっそくサンウルブズやウルフパックで相変わらずの突破力を披露した。ジャパンには、やはりこの男が欠かせない。

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