コラム 2019.08.08
【コラム】きれいなおねえさん

【コラム】きれいなおねえさん

[ 成見宏樹 ]

 女性2人がスタッフに入ったのは、いま中2の代で女子が大幅に増えたことがきっかけでした。娘を持つ保護者からすれば、練習、遠征、試合、合宿に女性の指導者がいることは大きな安心です。

 一方で、もともと仕事も家事もある2人が指導者としてスクール活動に参加し続けるには、多くの課題があります。仕事と家庭とラグビー、その難しいバランス取りは、本当は男性コーチにも求められている課題です。より多くの家事を背負っている女性スタッフが今よりさらに参加しやすい体制を作れたら、みんなにとっての前進になります。

埜村さん(左)と中村コーチ。藤沢RSの練習にて(撮影:BBM)
埜村さん(左)と中村コーチ。藤沢RSの練習にて(撮影:BBM)

 指導陣をU15でまとめる久富監督は、新体制になって、これまでにない発想や物事の進め方がクラブに備わったと感じています。

「今まではなんとなく、で進めていたものを形にしたり、整理したり」

男ばかりだったピッチへ踏み込むお2人も本当にたいへんですが、受け入れる側にも覚悟がいったでしょう。そして、新しい声に耳を傾け、変わる勇気は今後もずっと求められます。それは本当は、女性指導者の有無にかかわらず同じはずです。

 
 藤沢RSの中学生たちはこの春、ライバルと見定めていた横浜RSを県内で破って優勝しました。9月には単独チームの全国大会、太陽生命カップに出場します。全国の舞台に向けて練習に取り組み、自分たちのスタイルを磨いています。

中学2年の内田すみれさんは中学部活では美術部に所属、まだトップチームへは距離がありそうですが、太陽生命カップには自分なりの貢献をしたいと願っています。

「藤沢はみんな仲が良くて、言うべきことも言いあえるいい文化があると思う。太陽生命ではそれを生かしてほしい」

スクールの子は幼い頃からきょうだいのように育ちます。一方でスポーツは、小さな非日常を体験する場。そこでいろんな機会を得て、楽しんだり、時に悩んだり、みんなで喜んだりしながら、社会に出る自分の基盤を作っていきます。

 いろんな人がいて、生かしあえるからラグビーは、楽しい。

それはラグビーがマイナー競技なのに大事にされる理由でもあります。楕円球のそばにいる女性が増えたら、かっこいいおにいさんや素敵な大人はきっともっと増えます。違いは豊かさ。この受けとめと努力は、ラグビーだから体現できることの一つではないでしょうか。

成見宏樹
【筆者プロフィール】成見宏樹(  )
1972年生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、1995年4月、株式会社ベースボール・マガジン社入社。ラグビーマガジン編集部勤務、週刊サッカーマガジン編集部勤務、ラグビーマガジン編集部勤務(8年ぶり2回目)、ソフトテニスマガジン編集長を経て、2017年からラグビーマガジン編集部(5年ぶり3回目)、編集次長。

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