サモアに大きな痛手… 欧州拠点のベテランLOテコリが代表引退、W杯不参加
ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕まで2か月を切ったが、プールAで日本代表などと対戦することが決まっているサモア代表が、身長198センチ、体重130キロの経験豊富なパワフルロックを欠いて大舞台に臨むことになった。フランスのトゥールーズに在籍する35歳のジョー・テコリが7月23日、インターナショナルラグビーからの引退を発表した。
ワールドカップ3大会(2007、2011、2015年)を含めサモア代表として37キャップを重ねてきたテコリは、昨年6月、7月におこなわれたドイツ代表とのワールドカップ2019予選プレーオフにも出場して日本行きの切符獲得に貢献していたベテランであり、サモア代表にとっては大きな痛手である。
テコリはサモア代表からは引退するが、所属クラブでラグビーを続ける予定。
自身のインスタグラムで、サモア代表のウォークライ“シヴァ・タウ”のポーズを決めている写真とともに「私のインターナショナルラグビーキャリアの終了を発表したい。簡単な決断ではなかった。青いジャージーを着て私の美しい国サモアを代表してプレーできたことを嬉しく思い、感謝している」というメッセージを投稿し、続けて、「(サモア代表から引退する)時が来た。いまプレーしているクラブで集中しようと思う」とコメントしている。そして、ワールドカップへ向けて準備しているサモアの仲間たちにエールを送った。
テコリは昨季トゥールーズで主に背番号5をつけてレギュラーとして奮闘し、トップ14(フランス最高峰リーグ)優勝、ヨーロピアン・チャンピオンズカップ準決勝進出に大きく貢献。インスタグラムでサモア代表引退を表明した投稿に対して、ファンは「レジェンド」「偉大な選手」「ベストロック」などとコメントしており、ワールドカップ日本大会での活躍も期待されたトップクラスの選手であることは間違いない。
しかし、フランスのクラブに所属しているパシフィックアイランダーのなかには、契約更新の不安や給料減額を恐れて、あるいは金銭的にもっといい条件の契約をするために、フランスリーグの開催期間と重なるワールドカップへの出場を断念する選手もおり、フィジー代表のBKとして活躍してきたネマニ・ナンドロやティモジ・ナングサ(両選手ともモンペリエ所属)なども今年、インターナショナルラグビーから引退することを発表していて、テコリもそれに続いたという見方が強い。
国際統括団体であるワールドラグビーの規定では、「クラブは所属選手が資格を有する協会の代表チームまたはナショナル・スコッドに選出された場合、そのプレーヤーをリリースする義務がある」となっているが、パシフィックアイランド出身のトッププレーヤーの多くが拠点とするヨーロッパではワールドカップ期間中も公式戦をおこなうため、戦力を確保したいクラブ側の思いが立場の弱い選手を苦しめているという指摘もある。